非日常の空間で、仕事と人生の “棚卸し” を――リラックスした雰囲気で、自分の本音と向き合う1泊2日とは。(後編)

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非日常の空間で、仕事と人生の “棚卸し” を――リラックスした雰囲気で、自分の本音と向き合う1泊2日とは。(後編)
2017/11/05 (日) - 12:00
神吉 弘邦
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株式会社日本人材機構が展開する「SELF TURNプロジェクト」。その一環として株式会社ハーティスシステムアンドコンサルティング、株式会社スノーピークビジネスソリューションズとともに、2017 年 10 ⽉ 27 ⽇と28日の2日間、愛知県岡崎市で「働き方ワークショップ OPEN COLLABORATION CAMP × SELF TURN Re Sort」を開催しました。今回は、当イベントレポートの後編をお届けします。

非日常の空間で、仕事と人生の “棚卸し” を――リラックスした雰囲気で、自分の本音と向き合う1泊2日とは。(前編)

selfTURN Re Sort in OKAZAKI event report

他人に解説することで、自らの内なる声に「気づく」

音楽、特に人の歌声に触れると人はダイレクトに感情を揺さぶられます。宮田さんのステージが終わって興奮冷めやらない状態で、一人ひとりにカードの束が配られました。これは自分の内なる声に向き合うためのツール。イベントのタイトルである「Re Sort(並べ替え)」を行うために役立てます。

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「Re Sortカード」と名づけられたツール

この瞬間までに参加者たちは、まず時間をかけて岡崎までやって来て、初めて会う人とのオープンコラボレーションセッションで普段は使わない思考回路を用い、自然の中で空気と料理を味わい、トークとライブで感情を高められました。こうした「非日常」の状態が演出されて、初めて自分の本音に向き合う準備が万端になる。これから時間にしてたった数十分のできごとが、ワークショップの本題なのでした。

カードは5種類。それぞれこう書かれています。

「経済的豊かさ」(高収入を得たい、安定した生活を送りたい、自由になりたい) 「専門的豊かさ」(専門的な知識や技能を身につけたい、高めたい)
「人間関係の豊かさ」(人間関係を大事にしたい、家族や友人を大切にしたい)
「精神的豊かさ」(社会貢献したい、心の余裕を持ちたい、自分と向き合いたい)
「時間的豊かさ」(自分の時間をコントロールしたい、時間の自由を手に入れたい)

台紙には、左側に「今」と書かれ、その下に5つの枠があります。参加者は自分が「今、優先している豊かさ」の順にカードを枠へ置いていきます。何に重きを置いているか、その代わり何を犠牲にしているかという現状認識です。その後、同じテーブルについた人たちに向かって自己紹介をしながら、並べた順番の理由を解説します。

カードは、同内容のもう1セットがあります。次に行うのは、右の「未来」の枠へ並べること。次は「可能ならこれから優先させたい豊かさ」という未来の順番です。さまざまな環境や条件を一度取り払って、本来「自分はこうありたかった」という内なる声の確認作業。並び終えたら「どうしてこの順番にしたか?」という理由を、同じテーブルの人たちに向かって再び解説します。

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現在の状況を確認したら、今度は「こうありたい」という未来の自分を描く作業へ。カラーのカードで優先順位を並び替え

この並び替えのメソッドは、厳密に決められたものではありません。仕事論ではなく各自の人生観が関わるものなので、並べ方の基準はそれぞれ違って当たり前。でも、他人に解説するうち「自分は今、どんなことに不満や不安を抱いているのか」や、日常ではなかなか意識しない「人生でどう働くか、どう生きるか」という長期的な目標についての答えが自分の中にあることが分かり、参加者は新鮮な驚きを感じていました。

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現在と未来でカードの並びがガラッと変わる人は、これから新しいことに挑戦したいと考えている人が多かったようです。一方で、この数年で大きな変化を起こして波に乗る人は、現状の仕事や人生が「なりたい自分」と重なっていることを確認できたようでした。

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司会のファイアープレイス代表取締役の渡邉 知さんは、並べたカードの撮影を推奨。「悔いのない自分の人生を送っている、と本気で言い切るために今日の経験を役立ててください」

1日目の最後の挨拶に立った日本人材機構の渡邊信彦ディレクターは、「ビジネスを通じて地方を盛り上げたい」という同社の使命を紹介。自身も全国で5つの組織に所属するエピソードに触れ「働き方が多様化している今、地方で起こっている出来事に目を向けることで、個人や組織に新しい展開が生まれる」というアイデアを披露しました。「首都圏から参加した方、岡崎の企業から参加した方、ぜひ今日のワークショップのことを思い出したり、連絡を取ってみたりしてください」と呼びかけます。

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日本人材機構の渡邊信彦ディレクターは「今、並べた人生の優先順位をたまに振り返って、その都度、並び順を検討するのがいいですね」とアドバイス

会場のあちこちで名刺やSNSのアドレスを交換する様子からは、体験や思いを共有した “仲間” の輪から、ゆっくりと新しい動きが生み出される「芽」のようなものが感じ取れました。

未来へ「踏み出す」、ワークショップを終えた参加者

プライベート空間を確保する大型テント「アメニティドーム」とスリーピングバッグ(寝袋)でぐっすりと眠った参加者たち。翌朝はあいにくの雨模様になりましたが、深呼吸する空気は爽快で、気持ちの良い目覚めになりました。早起きしたメンバーが参加したのが「朝ヨガ」。椅子に座ったままでできる「チェアヨガ」は、オフィスのデスクでも実践できそうです。

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テーマは「一歩踏み出すためのヨガ」。瞑想で心を穏やかにさせながら、静かに力がみなぎるメニューをこなします)

身体を動かした後は、朝ごはん。ハムとチーズのホットサンド、淹れたてのコーヒーをシュラカップ(チタン製カップ)でいただきます。普段「朝は食べない派」でも、キャンプになるとたくさん食べたくなるのは不思議です。

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ワークショップの最後は、不動産開発・販売の株式会社ナカジツ、創業100年を超える岡崎製材、IT総合コンサルのハーティスシステムアンドコンサルティング、スノーピークビジネスソリューションズという岡崎の企業4社を迎えたアイデアソン。各社の担当者からは事業内容をヒアリングした後、各テーブルでは既存顧客や新規顧客に向けたサービスや商品のアイデアをディスカッションしました。

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株式会社ハンゾー代表取締役の太田芳徳氏は岡崎出身、名大工学部航空学科からリクルートへ進んだ異色の経歴の持ち主。「アンゾッフのマトリクス」を使ってアイデア創出を指導

短いカリキュラムながらも「今後の人生」までを考える、非常に濃い内容のプログラム。個人のキャリアパスを再考しながら、地域間で人材や組織の交流までを同時に行う「SELF TURN Re Sort」の試みは、今後いろんな自治体や組織で活用される可能性を感じるものでした。

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神吉 弘邦

フリーランス編集者、ライター

コンピュータ誌、書評文芸誌の立ち上げ、日英併記のデザイン誌『AXIS』編集部を経て、2010年より独立。カルチャー誌、デザイン誌、建築誌、料理誌、テクノロジー誌などオンラインと紙の両媒体で編集・執筆を行う。一方で「離島経済新聞(リトケイ)」デスク、「日本仕事百貨」エディターなどを歴任。現在は「これからの働きかた・生きかた」を探るため、さまざまな仕事や暮らしの主人公へのインタビューをライフワークにしている。

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