20代の社会人がキャリアの未来を考える場に。ビズリーチが運営するオンラインとオフラインのコミュニティがオープン

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20代の社会人がキャリアの未来を考える場に。ビズリーチが運営するオンラインとオフラインのコミュニティがオープン
2017/11/11 (土) - 08:00
神吉 弘邦

社会人となって数年後。目の前の仕事を懸命に覚える段階を経て、世の中の動きと自分の仕事を結びつけて考えられるようになるのが、20代半ばから後半にかけてではないでしょうか。視野が広がって余裕が持てる半面、それゆえの不安や悩みも生じてくる……たとえ会社や職種は違っても、そんな同年代は多いはず。20代のためのレコメンド型転職サイト「キャリアトレック」を展開してきた株式会社ビズリーチは、20代社会人が集える新たな “場” をスタートさせました。10月26日に開催された「BalconiiTalk」オープン記念イベントの模様をレポートします。

キャリアは「ハシゴ型」から「ジャングルジム型」へ。

10月下旬の木曜。渋谷キャスト1階のカフェ「Åre(オーレ)」で19時半から催された「BalconiiTalk(バルコニートーク)」オープン記念のイベントには、およそ30名が集まりました。全員が20代の社会人、ほとんどが仕事を終えた足で会場に駆けつけたようです。

このイベントを主催したビズリーチは、20代のための転職サイト「キャリアトレック」を展開しています。同サイトの人材マッチング率は50%以上。会員が使えば使うほど精度が高くなる「レコメンド機能」を搭載しているのが特徴です。求人検索から応募までスマホで完結する “スマホネイティブ” も謳っています。
20代の転職に強みを持つキャリアトレックですが、会員の声を分析すると共通の悩みが浮かび上がりました。それは「自分のキャリアを考えるうえで、ロールモデル(模範としたい例)となる人物が必要」と92%もの会員が考えているのに対して「気軽に相談できる相手がいない」という現状です。

かつて、組織におけるロールモデルは「面倒見の良い上司」や「優秀な先輩社員」でしたが、今はそうではない。厳密に言うと、そんな人がいなくなったわけではないのだけれど、彼ら・彼女らをロールモデルにはできないというのです。いったい、どういうことでしょうか?

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参加したのは、入社から数年を経た20代の社会人たち。オンラインとは一味違った交流をはかる

最初に登場したモデレーター(司会進行役)の松澤亜美さんは、リンダ・グラットンの著書『LIFE SHIFT』を引いて「人間の平均寿命が100歳を超えるこれからの社会では、80歳まで現役で働く可能性が高くなる」と説明しました。

その際には、従来のように1つの職能をステップアップさせていくハシゴ型のキャリアではなく、社会の変化に応じて柔軟に新しい仕事、10年前まではなかったような仕事に「シフト」して、ジャングルジムのようなにキャリアを形成することが肝心だと語ります。

SNSの普及や人工知能の目覚しい発展など、テクノロの進歩でかつてないスピードで変化する現代社会。20代が自分の未来を見通そうとしたとき、身近にいる上の世代にロールモデルを見出せないと感じるのは、無理のないことかもしれません。

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各テーブルには、白い服を着たビズリーチの社員がメンター役としてついた。これから描きたいキャリアについて、気軽に相談できる

譲れないものに、どうやって到達するか

続いて登壇したのは、実名型グルメ情報サービス 「Retty(レッティ)」経営企画室長の奥田健太さんと、「FOVE(フォーヴ)」CEO/ファウンダーの小島由香さん。ともに30代のゲストはイベント参加者たちの先輩世代にあたります。ふたりはジャングルジム型のキャリアを体現するかのように変化をいとわず、数々の挑戦を続けてきました。

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Retty株式会社 経営企画室長 奥田健太氏。東北大学工学部原子力工学科を卒業後、三菱商事リスクマネジメント部にて大型投融資案件の分析/意思決定職務に従事。担当したセクターは、IPP(独立系発電事業)投資、資源投資、航空機リース等多岐にわたる

奥田さんが熱を込めて語ったのは、人生の転機についてでした。これまで一番ショックだったのは、13歳のときの経験。在籍していたドイツ名門サッカークラブの下部組織から突如として戦力外を通告されたのです。プロフェッショナルで短命なプロサッカー選手たちの生き方にも同時に触れたことで「人生の時間軸を短く考える癖がついた」と言います。

一時はパイロットへの夢を抱きつつも「自分は飽き性だ」と分析して長期的なキャリアを築くことを断念。「辞めるときに備えて、選択肢が多そうな企業」との基準で、大学卒業後に三菱商事へ。「ブランドも重視した」と会社選びの本音も明かしました。

やり甲斐のある仕事を任せられて、実績も残した商社時代。でも、奥田さんが人生で最も避けたいと考えているのは「予定調和」だと言います。「居心地は良いし、知的好奇心は満たされる。でも、自分の思い描いていた未来とは違うのではないか?」と20代後半から自問するようになります。

その結果、2013年当時、まだ6人しかいなかったベンチャーのRettyへ転職します。CFOとしてファイナンス業務を担当した後、採用部門に回り、現在は経営企画室へ、と同社の成長に応じて目まぐるしく職種も変わりました。

一方の小島さんは、社会人になる前から「新しい表現方法を模索してきた」という経緯を語りました。大学生の頃の夢は、漫画家。学生時代に著名な漫画誌で作品を発表していたほか、現在でもオンライン媒体で連載(「日経テクノロジー」連載の起業マンガ『それでも目は泳ぐ』)を持っています。ただ、保守的な親は医者を目指してほしかったのだそうです。

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株式会社FOVE CEO/ファウンダー 小島由香氏。目の動きで仮想世界を自在に操作する視線追跡型VR用ヘッドセット「FOVE」を開発。起業前はSIEにてプレイステーション向けソフトのプロデュースに携わる

医者は親に諦めてもらえたものの、スパルタ教育で「世界一になれ」が口ぐせ。自身で会社を立ち上げるまでは「世界を目指さなくてはいけない」という焦りと戦ってきたと言います。表現に興味があったので、そこはブレずに進みたいという思いを捨てませんでした。

「映画の新しい表現手法を考えて、世界にデビューしたい。もしかしたら映画は鑑賞するだけでなく、体験できるものになるのかも。ならば、そのヒントはゲーム会社にあるのでは?」とグリーに就職。その後、年俸制のソニー・コンピュータエンタテインメントに移り、プレイステーションのタイトル開発に従事します。

「憧れていたのは、ジェノバ・チェンという米国のゲームプロデューサーです。それなら海外スタジオに潜り込めばいいのに、妙な見栄があって安定した大きな企業を選んでいました。でも、さまざまな縛りがある中で仕事をすることになってしまった。世界人になるまでに、このままでは下積みが長すぎる! とわかったんです」(小島さん)

停滞しそうになった夢への道のり、小島さんは「手を動かすこと」で前に進みました。週末はプロトタイプ(試作品)を自分でつくり、視線追跡型VRシステムの稼働モデルをつくり上げます。「モノがあると信頼してもらえる」のがスタートアップの世界。資金調達に成功してFOVEを起業、今年初めに商用モデル第1号の販売に漕ぎ着けました。

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人生のエピソードに触れ、登壇者への心理的な距離が縮まっていく

ふたりが失敗談も交えながら語った「未来」の描き方。来場者にとってはスケールの大きい話ながら、自分の人生と重ねながら真剣に聞き入る姿が印象的でした。

今こそ考えたい “サードプレイス” の意義

ふたりのゲストによるパネルトークの後は、参加者同士によるワークショップへ。ドリンクを片手に、美味しい料理も味わいながら、リラックスしたムードで進みます。

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SNS映えがしそうなこの日の料理。ハッシュタグ #Balconii を付けて投稿する人の姿も

配布されたワークシートに、まずは一人で考えて書き込みます。用紙の表側にはこんな項目が並んでいました。

「今の仕事、会社で好きなところ」
「今の仕事、会社で気になるところ」
「上記から重要なものを5つ選んで順番に書き込む」

自己紹介を兼ね、今の職場で取り組んでいる仕事を他のテーブルメンバーに解説する参加者たち。重要なものをピックアップして並べる作業を通じて「これからどんなキャリアパスを描きたいか?」という思いが、自然と湧き上がってきます。

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ワークシートを糸口に、取り組んでいる仕事や所属する組織を解説。会社を代表する口調ではなく「自分」を語る言葉になっていく

今度はワークシートを裏返すと、並んでいるのはこんな項目です。

「かっこいいと思う人、素敵だなと思う人、過去で一番よかったと思う自分」
「何故その人たちに憧れるのか、その人たちに共通する要素は?」
「最近、印象深いと思った言葉や考え方」

表面では「現在」について整理する。その後は「過去」を振り返るというワークショップ。自分はどうありたいと思うのか(どうありたいと思っていたか)を考え直す作業は、一人きりで取り組むより、問題意識や志を共有する仲間と進めると思わぬ発見があるものです。

それはきっと自分を客観視できるからではないでしょうか。単なる異業種交流でも、趣味や嗜好の合う気楽な集まりでもない。日常の忙しさに流されず、折に触れて「自分の未来」を考えるには、こうしたサードプレイス(職場でも家でもない第三の場所)を持っていることが役立ちそうです。

「みんながやってるところへ行くと、必死に頑張らないといけない。自分のキャリアにも『ブルーオーシャン戦略』を持ったほうがいい」(奥田さん)

「私にはビジネスマンのスキルはなく、凡人だと思っています。きっと『時間の使い方』と『思い切りの良さ』がすべてなのでは」(小島さん)

人生の先輩であるメンターにも出会えそうな「BalconiiTalk」。なんだか面白そうとピンときた人は、ぜひ始まったばかりのコミュニティに参加してみてください。

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第2回イベント開催は11月21日(火)19時半から、渋谷「Good Morning Building」で。テーマは「キャリアを考えるワークショップ」です
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神吉 弘邦

フリーランス編集者、ライター

コンピュータ誌、書評文芸誌の立ち上げ、日英併記のデザイン誌『AXIS』編集部を経て、2010年より独立。カルチャー誌、デザイン誌、建築誌、料理誌、テクノロジー誌などオンラインと紙の両媒体で編集・執筆を行う。一方で「離島経済新聞(リトケイ)」デスク、「日本仕事百貨」エディターなどを歴任。現在は「これからの働きかた・生きかた」を探るため、さまざまな仕事や暮らしの主人公へのインタビューをライフワークにしている。

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