潜在的に眠るママの力から自分らしく働くを実現『ママ・ドラフト会議®』

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潜在的に眠るママの力から自分らしく働くを実現『ママ・ドラフト会議®』
2017/12/22 (金) - 07:00
久保田 一美
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女性が第一子出産後に会社を退職する割合は46.9%(※1)と、長い間約6割あった時代からは脱したものの、いまだに2人に1人に近い割合で退職する状況は続いています。しかし、子育てを経験しながら、退職したことを後悔している方や、やむを得なく辞めることになり、再就職を切望している方がいます。

ママの再就職を支援する新しい取り組み

日本における女性の年齢階級別労働力率を表すM字カーブが緩やかになってきたとはいえ、働きたいと思いながら仕事に就いていない女性は、全国で315万人に上るというデータがあり、その内訳で一番多いのは育児世代が占めています。(※2) M字カーブが緩やかになってきた背景には、社会や会社の制度などが少しずつ整ってきていることが関係していますが、今回はママの再就職を新しいかたちで実現する、東京都立川市で開催された「ママ・ドラフト会議®」を見学してきました。

このママ・ドラフト会議とは、福岡県福岡市に拠点を置くNPO法人ママワーク研究所が2014年から始めた「もう一度働きたいママの再就職」支援と、「ママの力を活用したい企業側」の優秀な人材確保の新しい手段であり、福岡県を中心に展開してきた活動です。

この活動をぜひ「関東でも開催を」と望む声があがり、立川市で保育園付きコワーキングスペースを運営する株式会社シーズプレイス、小平市でのふるさとテレワークを推進する株式会社コミクリ、そして、同研究所が共催し、2017年10月20日にららぽーと立川立飛にて、初開催が実現されました。

会場では、公募でエントリーをしたママのファイナリストと呼ばれる5人の方々が緊張した面持ちでプレゼンタイムを待っていました。一方、見学席には、優秀なママの力を我が社に迎え入れたいと考える30社以上の企業が集っていました。

「働きたい」をベストマッチング

ファイナリストの5人の方々は、ママ・ドラフト会議の当日を迎えるまでに、研修を受け、自身の強み、会社で働いていたときのスキル、経験を徹底的に棚卸し、魅力を顕在化されました。それに加え、退職した理由や退職せざるを得なかった理由とそのときの正直な思い、社会復帰をしたらどのように即戦力で働けるのか、どんな風に働きたいのかを、「5分間」というもち時間のなかで話せるよう準備をしていました。

ここで驚くことは、5人のママの「プレゼンテーション力」です。在職中に「人前で話す」という機会さえなかった5人が、練習に練習を重ね、この5分間のなかで、先の研修で掘り起こした自分自身のスキル、意志、思いをストーリー立てて話すのです。

また、一般的な就職面接での定型質問である「志望動機」や「長所・短所」、「企業ビジョンの確認」などを訊いて答える方法とは違い、このスタイルでは、その人の個性を垣間見ることもできます。想定質問の回答を準備して望む面接よりも、何よりいきいきとしています。

このプレゼンテーションを聴き終えると、「我が社でぜひ働いてほしい」と交渉権を手に入れたい企業が、一斉に自社の企業名が書かれたプラカードを上げます。まさに、プロ野球入団のときなどに採用されているドラフト会議なのです。

「優秀な人材が見つからない」と嘆く企業側と、「働きたいのにママというだけで再就職が難しい」という双方のデメリットが、この数分間で解決する。そんな理にかなった「自分らしく働く」を手にいれる道だと実感しました。

「自分らしく働く」をあらためて考える

仕事の内容が合わない、やりがいがない、労働条件などが理由で、会社を辞めてしまう人も多いなか、育児をしながらも志高く、こんなにも働きたいという思いをもっている人がいます。

このママ・ドラフト会議は、ママの再就職のためだけでなく、前述のような理由で辞めてしまった方や、現状の働き方にモヤモヤしている方にも、一度見学いただく機会をおすすめしたいと強く感じました。なぜなら、自身が置かれている状況が、どんなに恵まれているのかということを再確認できたり、「自分らしく働く」ことに対し、熱い情熱を呼び起こす機会になったりすると思うからです。

対象がママだけでなく、このドラフト会議のような形態を、シニア層や、管理職層、そして新卒入社においても適用されるときがくるかもしれません。

定常化した就職活動で、想定内の質問や応答では、自分らしさを出す前に面接が終わってしまいます。そうすると、自身の本当にやりたい仕事に就けなかったり、ミスマッチが生まれたりします。多様性を重んじ、多様な働き方の導入が進められる時代に、多様な入社の仕方も今後増えていくでしょう。

マニュアル通りの履歴書、職務経歴書をきれいにまとめてつくることではなく、「自分だったら、どんな強みや思いを短い時間に込めるのか」ということを、普段から準備している方に、「自分らしく働く」チャンスは舞い込んでくるのです。

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(※1)出典:国立社会保障・人口問題研究所 2016年9月

(※2)出典: 内閣府男女共同参画局「総務省 労働力調査(詳細集計)」平成25年

 

久保田一美

久保田 一美

MY STORY K.K. 代表
企業研修講師、女性活躍コンサルタント

キャリア実績のある研修講師として、女性活躍推進やダイバーシティ、リーダーシップ、時間管理や仕事術、ITと人による生産性向上を推進するべく、企業での研修やコンサルティングを行う。また働き方やキャリアに関する専門誌連載、様々なオンライン媒体での専門家執筆など、人材育成に関する教材開発なども多く手掛ける。仕事も家庭もプライベートも楽しむQOL(Quality of Life)を大切に、2017年4月号「PRESIDENT WOMAN」誌にも、「私の働き方」で取材を受け掲載される。ライフイベントを見据えながら働く女性からのキャリアカウンセリングにも強みを持ち、実績多数。

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