働くことの選択肢を増やし、許容できる社会へ ‐at Will Work 代表理事 藤本あゆみ氏

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働くことの選択肢を増やし、許容できる社会へ ‐at Will Work 代表理事 藤本あゆみ氏
2018/02/13 (火) - 07:00
SELF TURN ONLINE 編集部

2018年2月23日から3月11日に東京ミッドタウン・デザインハブで開催される「地域×デザイン2018」において、SELF TURN実践者または地方で多様な働き方を推し進める企業を、「SELF TURN× Work Design Award」として表彰することが決まりました。自身も一般社団法人at Will Workを立ち上げ、代表理事として働きやすい社会づくりを推進している藤本あゆみさんが同アワード「ライフデザイン」部門の審査員に選出されたことを機に、理想的な働き方等についてお話を伺いました。

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藤本 あゆみ(ふじもと あゆみ)さん

大学卒業後、キャリアデザインセンター入社。求人広告媒体営業に従事し26歳で(当時)最年少マネージャーに昇進。結婚を機に退職し、2007年グーグルに転職。2015年に同社退職後、2016年に一般社団法人at Will Workを設立し代表理事に就任。並行し株式会社お金のデザイン正社員として、広報などを担当。

ワーキングマザーだけでなく、すべての人が働きやすい社会をつくりたい

――今のような働き方になったのはどういう流れだったのでしょうか

9年間勤めていたグーグルで、最後の1年間に参加していた女性支援の「Womenwill Project」が、現在のat Will Work立ち上げのそもそものきっかけとなりました。当時はお母さんの働き方、特にハッピーなかたちでの復職を考えてやっていました。6割の方が復職をせずに辞めてしまう現状を何とか変えられれば、仕事や環境がよくなるはずという考えでやっていくなかで「お母さんの働き方をよくするには、すべての人にとっての働き方がよくならないとダメだ」と思いました。「たまたまあの人だからうまくいった」という特別なものではなく、すべての人にとって働きやすい社会にしたいと考えるようになりました。

プロジェクトを超えて「すべての人にとっての働きやすい環境づくり」を考えるようになり、当時プロジェクトで出会ったパートナーとしてやっていた仲間と、「じゃあ別に立ち上げたらいいじゃないのか」ということで、at Will Workを設立しました。特定のプロダクトやサービスに寄らずに、フラットなところで何が一番必要かをしっかり考えたいと思っています。

at Will Workには5人理事がいて、私が動けないときはほかの人が動きつつ、連絡はオンラインでとり続けながら協力するという形でやっています。私以外の理事は全員社長業をやっていますので、私だけがサラリーマンですね(笑)

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――お金のデザインでは正社員として勤務されているのですよね。複(副)業が世の中の注目を集めつつも、職場の理解が得られないという声も少なくありません。正社員というところが認められたのはどうしてだったのでしょうか。グーグルからの転職の経緯ともに教えてください。

お金のデザインにはグーグル時代の同僚が何人か働いていまして。退職後に連絡をいただきオフィスに遊びに行きました。私は長く営業をやっていたのですが、金融業界だけはやったことがありませんでした。難しくてわかりづらくて、私がやることではないと思っていました。お金のデザインでは私のような人でも金融がわかりやすくするようなことを始めると聞いて、それは面白いなと思いました。

お金のデザインでの仕事をするにあたって、私のなかでは普通に業務委託でと考えていました。しかし、(取締役)会長の谷家(衛氏)がきっかけをくれまして。「私たちが“選択肢のある社会をつくりたい”というのであれば、業務委託で働く人間は世の中にたくさんいるのだから、違ったやり方をして選択肢を広げたらいい」といっていただき、正社員として働くことになりました。今のやり方がいいかとか正しいかということではあまりないと思っていて、私のなかで「試して」いるという感覚です。

――働き方がほかの人と違うことで苦労したことはありますか?

ファイナンス業界が長い人は、たとえば朝は早い時間に会社にいるというのが当たり前だったりします。ちゃんと会社にいるというのが当たり前。リモートワークという概念もそんなにないですし、お客様のお金を預かるわけですから、どこでもできるということがいいというわけでもなくて、安全が第一。優先順位が違うわけです。

基本的に会社で何かをすることが当たり前、副業なんて考えたこともありません、という人が多いです。どういう時間の使い方をするのか不安に思っている人がいるということは入社の前から聞いていましたし、今でこそ一番の理解者になってくれているCOOの北澤(直氏)も、「スタートアップにコミットしないで入るのか」と私の入社にすごく反対していたと後で聞きました(笑)。(編注:北澤氏はat Will Workのアドバイザリーボードを務めています)

――今は理解していただいているのですね

お金のデザインでは「自分の仕事を定義する」ことを全社員がやっています。OKR(Objective Key Results)というもので、誰がどんな取り組みをしていて、どのような成果が得られるのか、どのような協力が必要なのかが誰にでもわかるようになります。 私の担当である広報(PR)でいえば「どういう記事が出るのか、どのようなメディアに出るのか」を重視している私に対し、取り上げられる回数を重視する人もいるわけです。すると、私の評価と他人の評価が違ってくるということもあります。そういう見方をするのですね、という会話ができるきっかけになります。

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日本社会では「こうあるべき」ということがすごく多いなと思っています。女性ならこうあるべき、スタートアップならこうあるべきといった、なんとなくのイメージというのがどうしても多い。スタートアップを例に出すと、「スタートアップなら時間でコミットすべき」など。しかし本来コミットは成果でも返せるはずです。「コミットに関する私の考えは〇〇です。あなたのコミットの考え方は△△ですか、へえそういう考え方もあるのですね」と、自分と違う考えを持っているからダメではなく、相手の考えを許容できるようになることが、すべての人が働きやすい社会のためになると思います。

selfTURN×Work Design Award受賞者表彰ポイントについて

――今回アワードの「ライフデザイン」部門の審査員を担当していただきました。selfTURNをし、地域で生き生きした「仕事と暮らし」を実践し社会に影響を与えている個人を表彰することになりましたが、どのような観点で選ばれたのでしょうか

選出した方は東京出身なのですが、米国留学を経て、地域おこし協力隊として高知に移住するという経歴をお持ちです。高知移住のお話をはじめ聞いたときにびっくりしました。
(キャリアの)転換の仕方がおもしろいというのもありますが、縁もゆかりもないところでそこの土地の魅力を自分で導き出して、さらによくしていくための提案をしているところがポイントになりました。提案を実行に移すために、これまでの自身のさまざまなリソースを使われているのがおもしろく、まさに「自分らしい働き方」だなと思い選出しました。

自分らしく働くとは

――「自分らしく働く」を啓蒙するために、at Will Workではどのような活動をされていますか?

私たちが働き方の選択肢を増やすためにサポートしたいのは個人ではなく企業なんですね。働き方に関し、個人をサポートする団体やイベントは多いですが、そこでインスパイアされていざ企業にもっていくと、企業側が全然追い付けないのです。やはり「企業側が変わると社会がダイナミックに変わる」ので、私たちは企業にフォーカスしています。

活動のひとつに「カンファレンス開催」があります。「現状の働き方を見直したいが、どうしたらいいかわからない」という方々のヒントになるような場にしたいと思って開催しています。大手有名企業だけでなく、今までどこでも登壇したことがないようなベンチャー企業の方を発掘するなど、とにかく色々な企業の人に登壇してもらうようにしています。
働き方改革は最大の個別最適化だと思っています。企業の歴史やそこにいる人や取り扱うサービスなどによってさまざまですので、どこかの企業の真似をしたからうまくいくということはないですが、必ずヒントはあるということをお伝えしています。

――藤本さんが考える「自分らしく働く」とはどういうことだと思いますか?

2017年5月にシリコンバレーに起業家の女性達と合宿(シリコンバレーWSL合宿-日本を変える女性のBootCamp-)に参加したときに、BeingとDoingという話がありました。Beingとはまさに私らしさ、私のコアになる部分。哲学や私のあり方という人もいると思いますが、Beingが何かということをすごく考えさせられました。

シリコンバレーの起業家たちは特にシリアルアントレプレナー(連続起業家)が多いです。結構失敗もして、ダメだったからハイ次、と新しく起業する。でも彼らからすると、変わっているのは「何を表現するか」というDoingの部分であり、Beingのコアのところは何も変わっていないのです。シリコンバレーの会社の人って、何を社会にもたらすのかということを考えている人が多いですね。

この合宿で「あなたは何をしますか?」ときかれて、何も答えられなかったんです。「法人(at Will Work)としてこういう社会にしたい」というのはでてきても、それが「私」がやらなければいけない理由というのは結構難しいなと思っていて。私も働き方に関する活動をやりながら、それを探しているのかもしれません。

自分らしく働くこと。すごく難しい質問ですね。答えはないというか、私らしさは(その時々によって)変わるのだと思います。今は、「自分がやりたいと思うことをやる」というのが私らしさかなと考えています。もし「自分がやりたいと思うこと」ができる環境がなければ、自分でつくればいいのですから。
 

▼藤本あゆみさんが登壇されるトークセッションはこちら
SOMA 瀬戸昌宣  ×  at Will Work 藤本あゆみトークセッション
2018年3月5日(月)19:00-19:50


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