「保育園落ちた日本死ね」から2年…法改正後の育休延長の実態は
浅賀 桃子
2018/03/20 (火) - 08:00

2016年のユーキャン新語・流行語大賞のトップ10に「保育園落ちた日本死ね」が入るほど、大きな社会問題になっている待機児童問題。赤ちゃんの生まれ月によっては、育休延長ができずに退職を余儀なくされるケースも多くありました。2017年10月の法改正で育休関連制度が変わったことで、企業の実態はどうなったのかみていきます。

保育園不承諾通知と育児休業

各市町村から2月上旬から3月上旬にかけて、認可保育園の承諾・不承諾通知が送られてきます。4月から復職を予定している人は、認可外保育園や保育ママなどの他預け先が見つからないようですと、勤務先に復職延期の申請をする必要があります。

復職延期=育休延長になります。育休期間は法律上原則として子どもが1歳になるまで(正確には「1歳の誕生日の前日」まで)とされており、保育園に入れないなどやむを得ない事情がある場合、半年間の延長が認められていました。

たとえば5月15日生まれの赤ちゃんの場合、本来は翌年5月14日までが育休期間です。保育園等に入れない場合は半年延長ができるので、11月14日まで取得可能になりますが、それまでに預け先が見つからなければ育休延長ができず退職せざるを得ないケースもあったわけです(もちろん会社によっては、子どもが3歳もしくはそれ以上になるまで育休をとれるケースもあります。これは会社側が法定を上回る休業期間を認めているにすぎず、このように恵まれている会社ばかりではないでしょう)。年度途中での保育園入園がまったく不可能なわけではありませんが、現実はほぼ4月入園に限られてしまっていることから、子どもの生まれ月によっては不利になる問題もみられてきたわけです。

育児・介護休業法改定に伴い、2017年10月1日より育休期間が最長2歳まで再延長できるようになりました。上述の赤ちゃんの場合、1歳時(翌年5月14日)に入園が叶わず、さらに半年延長後の11月14日時点でもやはり入園が叶わなかった場合、2歳時(さらに翌年の5月14日)まで再延長が可能になります。初めから2年間の休業をとれる制度ではありませんが、延長しても難しい場合に再延長を申請することにより、一般的に保育園に入園しやすいとされている新年度(4月)に向けての準備が可能になりました。

2歳までの再延長、知っていましたか?

2017年10月からの育児・介護休業法改正施行から半年が過ぎました。2歳まで育休再延長ができることは、どれだけ知られているのでしょうか。
エン・ジャパンが運営するサイト「エン 人事のミカタ」において、企業人事担当者に対し育休に関する調査を行った結果、2歳まで育休取得期間が延長できることの認知度は71%となり、さほど高くはない印象です。実際、企業で(社員の)子どもが何歳まで取得できるかを聞いた設問に対しては、法定通りの1歳までと答えた割合が54%と最も多くなっています。

育休延長、企業の本音は

制度があっても実際に利用しない方も少なくない育休。厚生労働省の2016年度調査によると、育休取得者がいる会社(事業所)の割合は女性85.9%、男性5.4%となっています。育休取得率でみると、女性81.8%、男性3.16%となっています。
特に男性の場合「自身のキャリアに影響があるかもしれない」と考え、育休取得に踏みきれない方の話を筆者自身聞くことがあります。

最大2年まで延長できるようになったことに関し、「非常に良いと思う」「まあ良いと思う」とポジティブな回答を出した企業の代表的な意見は「社員の復職できる可能性が高くなった」「赤ちゃんの生まれ月による差がなくなる」という2点でした。一方で「良いと思わない」「あまり良いと思わない」というネガティブな反応もみられました。「会社としては2年ブランクがあくと、その間の人材補充の問題もあるし、本人のキャリアとしても難しくなる」という意見が代表的なものとして挙げられています。特に現場の人材確保に余裕がない中小企業ほど先述の育休取得割合も低いことが明らかになっており、企業側の本音としては「早く育休を切り上げ戻ってきてほしい」「このタイミングで抜けられると痛いなあ」などの声が少なくありません。男性の育休利用率が極端に低い現状が続いていますが、「なぜ男性が取得するのか」「男性で取っている方は少ないし、できればとらないまま頑張って働いてほしい」という本音が見え隠れします。

働き方改革が叫ばれるなか、切っても切り外せない待機児童および保育園関連問題。2歳までの育休延長制度のさらなる浸透と、企業側の告知協力などが本改正を活かすためのポイントとなるでしょう。

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