どんな生き方・働き方を選択するか‐「HeForSheセミナー」レポート

2161_main
cat_career
どんな生き方・働き方を選択するか‐「HeForSheセミナー」レポート
2018/03/24 (土) - 07:00
浅賀 桃子

「ジェンダー平等」は女性「だけ」による女性のための取り組みにあらず。ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関・UN WomenによるHeForShe運動が進められる中、国際女性デーである2018年3月8日に「HeForSheセミナー マインドセットは自分で決める~あなたはどんな生き方・働き方を選びますか~」が文京区シビックホールにて開催されました。本セミナーの概要をレポートします。

イントロダクション「HeForSheが創る未来」

本セミナー主催のUN Women日本事務所長 石川雅恵氏、文京区長 成澤廣修氏、PwC Japanグループダイバーシティ推進リーダー 梅木典子氏、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社取締役人事総務本部長 島田由香氏が登壇。HeForSheへの思いについて語りました。

口火を切ったのは石川雅恵氏。「妊娠して電車に乗ったことがありました。そのときにある方から席を譲られたのですが、元気だったので断ったのです。すると「あなたはいまそれでいいかもしれない。でもそういう人がいると、妊婦さんに席を譲らなくてもいいと思われてしまうと困るでしょう」と諭されました。次の世代への責任があることを認識しました」と、ニューヨーク国連本部で働いていた当時の経験談が語られました。

続く成澤廣修氏・梅木典子氏・島田由香氏からはそれぞれ「マインドセットの力を広げてほしい」「マインドセットを変える色々な気づきを得て、自身のアクションを変える場になってほしい」「自分の思い込みに気づき、ジェンダーを超えて自分らしく生きていける社会を過ごせるように」との挨拶がありました。

2161_sub1
左から石川雅恵氏、成澤廣修氏、梅木典子氏、島田由香氏

基調講演

基調講演に登場した南谷真鈴氏は、七大陸最高峰日本最年少登頂記録保持者。父親の仕事の関係で、4年に1度は住んでいる国が変わり、2年に1度は通っている学校が変わる生活を送っていました。物心ついたころに中国に住み、日本語(家)・中国語(外)・英語(学校)と場所によって使う言語も変わる中、自分が誰なのかわからなくなっていたと語ります。香港の中高一貫校に通っていたころに出会った山登りで「自分が人間に戻ったような」感覚を得られたことから、徐々にエベレストに登りたいという夢が膨らんだ南谷氏。17歳で登頂決意後、資金確保のため自らスポンサーを募り「17歳の女子高校生に登れるはずはない」と面と向かっていわれながらも諦めませんでした。結果、わずか2年でセブンサミッターとなったのです。

南谷氏はこう語りました。「“自分の可能性は無限だ”と思わなければ、いまの自分はありません。マインドセットチェンジは考えから始まります。日本人は、私にはできないと謙遜しがちですが、ポジティブな「できる」というニュアンスの言葉を使ってほしい。それが夢を実現する秘訣だと思っています」

2161_sub2
基調講演・南谷真鈴氏

対談1「Mindset Change – Gender & Age」

1つ目の対談は「Mindset Change – Gender & Age」をテーマに、先述の文京区長 成澤氏、株式会社people first代表取締役 八木洋介氏、モデレーターを務めたPwCコンサルティング合同会社パートナー 佐々木亮輔氏の三者で行われました。

佐々木氏からの「どういうマインドチェンジが求められているのか」という問いを受け、成澤氏は次のように語りました。「待機児童の改善を求められているが、長時間労働を前提にした保育園の制度は本当に必要なのかという原点に戻ったほうがいい。早朝保育や延長保育が当たり前になると、一日13時間保育になるが、それが正しい状態であるというところからのマインドセットが必要なのでは」自身の市町村長初の育休取得経験を踏まえた発言には、会場から拍手が沸き起こっていました。

八木氏は「多くの企業が過去にとらわれ、過去の延長線上で考えているが、世の中はパラダイムシフトしている。おじさんばかりでは勝てないダイバーシティの時代であり、そのなかでひとつの共通のものを作るにはちゃんとディベートする必要がある」と、何が正しいかを徹底的に議論できる社会にすべきと話しました。

2161_sub3
左から佐々木亮輔氏、成澤廣修氏、八木洋介氏

対談2「Mindset Change – Gender & Industry」

「Mindset Change – Gender & Industry」をテーマに行われた2つ目の対談は、萩大島船団丸/株式会社GHIBLI代表 坪内知佳氏、総務省・よんなな会主催者 脇雅昭氏、モデレーターを務めた先述の梅木典子氏の三者で実施されました。

19歳で余命半年宣告をされるなど、自分が「死ぬかもしれない」経験を経て、地に足をつけて生きなければならないと感じるようになったという坪内氏。2010年10月にこれまで知見のなかった漁業の世界に飛び込み、食べていく生産現場に自分がいられることへのありがたみを感じたといいます。2011年に萩大島船団丸を設立し代表就任、2014年には株式会社GHIBLIとして法人化を果たすも、漁師の方々からの理解を得るまでにはかなり根気がいりました。

一方の脇氏も、身近な人の死を経験したことで「死を自分事としてとらえていなかったことに気づいた。死が悲しかったけれど、それ以上に生を感じた」といいます。そこから自分の人生をどう使うかを考えるようになった脇氏。主催しているよんなな会は、47都道府県の地方自治体職員と国家公務員が集まる場となっており「自分自身に大きなビジョンはないけれど、こうやったらよくなるかなと思うことはあると気づいた」と話します。

梅木氏から「自分ひとりアクションをとっても変われないと思っている方へのコメント」を求められた両氏。「こうなったらいいのにと思えたこと自体がダイバーシティだとおもう。ダイバーシティは0か100かの問題ではなくプロセス」(坪内氏)「みんな100を求めがち。100までの道のりが遠いのでできないと思っている。0よりは1のほうがいい、やらないよりやったほうがいいよねという世界にしていきたい。1やると仲間ができるので、その時点でひとりでやっているわけではないですよね」(脇氏)と、小さなことからアクションを変えるようアドバイスがありました。

2161_sub4
左から梅木典子氏、坪内知佳氏、脇雅昭氏

対談3「Mindset Change – Self」

3番目の対談は、「Self」の観点から実施されました。ドラッカー経営大学院准教授/エグゼクティブ・マインド・リーダーシップ・インスティテュート創設者・ディレクター ジェレミー・ハンター氏、IMD 北東アジア代表 高津尚志氏、そしてモデレーターとして先述の島田由香氏が登壇しました。

対談の初めにジェレミー氏が見せた1枚の子どもの写真。この写真を見て「好きか嫌いか」、「どのような感情やストーリーがわいたか」を会場内に問いかけました。同じ写真をみても、好きだと思う人と嫌いだと思う人がおり、同じ好きだと思った人でもその理由は異なっていることが明らかになりました。この結果を受けてジェレミー氏は「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」を紹介。情報を取り込んでいても実際にはみていない「ブラインドスポット」があり、これが人間の行動や結果に影響が出ると指摘しました。

島田氏の「自分のアンコンシャス・バイアスに気づくには」という問いに対し、両氏は「習慣を変えること。自分の感覚にとらわれてしまうと周りが見えなくなる」(ジェレミー氏)「外部環境について学ぶこと、自分の会社やチームがどうなっているか知ることは重要。ただ、それ以上に重要なことは、自分自身はどういう人間なのか、どういうことが好き・嫌いなのかということへの認識だ。自分への棚卸をしてポジティブに再解釈することはマインドセットチェンジにも通じる」(高津氏)と回答し、対談を終えました。

2161_sub5
左から島田由香氏、高津尚志氏、ジェレミー・ハンター氏

クロージングセッション

最後に、主催者からの閉会挨拶としてPwC Japanグループ代表 木村浩一郎氏が「HeForSheの取り組みは、彼対彼女という枠組みを超えた活動だと思う。世の中いろいろなことを変えていかなければならないが、自分たちだけでできることは限られており、ちょっとした勇気がものすごく大切」と語りました。また、ユニリーバ グローバルCEO ポール・ポールマン氏が最後に登場、「今日からあなたはどのように考え方を変えますか? 何をしますか?」とマインドセットチェンジの必要性を改めて訴え、HeForSheセミナーを締めくくりました。

2161_sub6
登壇者フォトセッション
asakamomoko

浅賀 桃子

ベリテワークス株式会社 代表取締役・代表カウンセラー

ITコンサルティング会社人事などを経てカウンセラーとして独立。2014年ベリテワークス株式会社として法人化。ビジネスパーソンのメンタル不調者やキャリアチェンジに悩む方のケアを中心に、カウンセリング実績5,000名超。予防カウンセリングに強みを持ち、ストレス・メンタルヘルス・キャリアデザインなどのセミナー多数開催。キャリアコンサルタント、メンタル法務主任者、メンタルヘルス・マネジメント検定I種、ストレスマネジメントファシリテーターなどの資格を持つ。スヌーピー研究をライフワークとし、2015年NHKおはよう日本で紹介される。

このエントリーをはてなブックマークに追加

FEATURE

特集

サムネイル
サムネイル
サムネイル