24時間/365日営業の日本の文化から働き方を考える

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24時間/365日営業の日本の文化から働き方を考える
2018/04/12 (木) - 07:00
久保田 一美

24時間営業のコンビニ、365日営業のスーパーや量販店。毎日忙しく働く私たちにとっては、便利でありがたい存在です。しかしこの便利さは、他の誰かが働く絶え間ない勤務体系のなかで提供されているということは、いうまでもありません。働き方改革が叫ばれているいま、今回はこの日本の文化から働き方を考えます。

24時間/365日営業は今後も増えるのか

田舎で育った私がいまでも鮮明に覚えているのが、近所にセブンイレブンが出来たとき。朝7時から夜11時まで開いているお店がオープンし、美味しいおにぎりに、百貨店まで行かなくても気軽に食べられるソフトクリーム。なんて素敵なお店ができたのだろうと、胸踊った記憶があります。

時は過ぎ、コンビニエンスストア(以下、コンビニ)はどの店舗も24時間営業が当たり前となり、日本における店舗の数は、統計データより約58000件。(*1) 現在私が住む東京の地域では、空き地が出来たと思うと、そこにはコンビニの看板ができ、少し歩けば既存店があるのにまた出店。セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートなど、駅前通りだけでも沢山のコンビニがあります。

また、ファミリーが住みやすいとされている地域なので、ファミリーレストランも多くあります。スーパーやファーストフードなども入れたら、24時間営業の店舗は少なくありません。

年末年始には都内の大手百貨店は31日の大晦日まで営業、翌元日にはオープンする店舗もあります。福袋を楽しみに訪れるお客様がいますので、このような催しは、新しい年の始まりに明るい話題をもたらしてくれますが、百貨店勤務の方々にとっては、家族や親しい方と大切な時間を一緒に過ごすことができません。

便利な文化で失われるものもある

百貨店やスーパーが年末年始に休店になる時代は、たとえば年末の忙しい時期でも、新しい年を迎える準備として、お正月の飾りや、家族、親戚みんなで顔を揃えて味わえる数日分の食材の買い出しの時間は、特別な時間でありワクワクする時間でもありました。しかし近年は、元日や2日からお店は開いているからと買いだめをすることもなくなり、そのワクワクの時間が減ってしまっているようにも感じます。

また、私は仕事で海外出張に行ったり、プライベートでは海外旅行が好きで、友人達や家族と色々な国に行ったりしましたが、訪れる国よっては、日曜・祝日には百貨店が休館になったり、一部のレストランが開いていなかったりなど、「365日営業はあたり前ではない」ということ、「お店で働く人にも家族があって、休日の時間を大切にすること」の文化を目の当たりにしました。そのような国々は、国民の幸福度が高く、労働生産性も高いとされている国であることも興味深いところです。

利便性を求めすぎていないか

ロイヤルホールディングスが経営するファミリーレストラン「ロイヤルホスト」では、人手不足などへの対応のため、2017年1月末に24時間営業を完全撤廃。時間を短くする施策をしたところ、予想していた売上減の懸念とは裏腹に、売上が伸びたと発表しました。(*2)

営業時間を短くして従業員をより一層大切にすることに注力し、その代わりに提供する商品の価値を高めることに力を入れた結果、来客数が減っても客単価が上がり、予想を反して売上がアップしたといいます。昨今の社会で叫ばれている「働き方改革」の中で、大きなヒントになるような実例です。働き方改革はこのように、長時間労働を是正することだけでなく、創造的な価値を生み出したり、業務改善ありきで利益に繋がることが重要なのです。

一方で考えを巡らせたいのは、利用する側としても、24時間/365日営業の利便性は、ほかの誰かが働いてくださっていることで成り立っていることについて、「この利便性は本当に必要なのか」、「利便性によって、失われつつある大切なものはないか」を見つめる時間をもつことも必要ではないでしょうか。

中国ではコンビニの無人化などのテクノロジーが日本に比べて非常に進んでいるというニュースがありますが、今後日本でもコンビニなどの無人化が導入されれば、最新のテクノロジーが人の労働時間の代わりに、利便性は変わらず担保してくれます。

しかし、お店やレストランが開いていなければ、計画的に買い物をしたり、イベントごとを準備することのワクワクがあり、別のことで楽しみを生み出すことができると考えたとき、家族との安らぎの時間が増えたり、自分のための時間に充てることもできたりします。

ほんの少し立ち止まって、本来の「人間らしい生き方」を省みるとき、ケースバイケースはあると思いますが、利用者側である私たちも「利便性を求めすぎていないか?」を考えることは、日本社会の働き方改革に繋がっているといえるのではないでしょうか。

(出典)
*1「フランチャイズチェーン統計調査」(一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会2016年度版)

(出典)
*2「営業時間短縮も売上増」(食品新聞社 2017.9.13)

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久保田 一美

MY STORY K.K. 代表
企業研修講師、女性活躍コンサルタント

キャリア実績のある研修講師として、女性活躍推進やダイバーシティ、リーダーシップ、時間管理や仕事術、ITと人による生産性向上を推進するべく、企業での研修やコンサルティングを行う。また働き方やキャリアに関する専門誌連載、様々なオンライン媒体での専門家執筆など、人材育成に関する教材開発なども多く手掛ける。仕事も家庭もプライベートも楽しむQOL(Quality of Life)を大切に、2017年4月号「PRESIDENT WOMAN」誌にも、「私の働き方」で取材を受け掲載される。ライフイベントを見据えながら働く女性からのキャリアカウンセリングにも強みを持ち、実績多数。

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