いまどきの若者は…ではすまされない新入社員との上手なつきあい方
加藤 晶子
2018/04/27 (金) - 07:00

4月というと、新入社員を受けいれる企業も多いですね。いつの時代も、「いまどきの若者は…」という声を聞きますが、学生と社会人との違いを分かっていないがために、思わぬ行動をとるといった場面も少なくありません。今回は、そんな新入社員の特徴と上手なつきあい方について、ご紹介します。

1.人並みに働き楽しい生活がしたい

公益財団法人日本生産性本部の行った「働くことの意識」調査(平成29年度の新入社員1882人が回答)(※)によると、特徴として、楽しく生活するための「仕事」という位置づけが明らかになっています。

「働く目的」では「楽しい生活をしたい」が過去最高を更新し、(一昨年度37.0%→昨年度41.7%→42.6%)「自分の能力をためす」は過去最低を更新(13.4%→12.4%→10.9%)。「社会に役立つ」も減少傾向(12.5%→9.3%→9.2%)にあります。 「人並み以上に働きたいか」では、「人並みで十分」が高い水準を維持(一昨年度53.5%→昨年度58.3%→57.6%)。

このことから、仕事は生活の一部であり、人との競争やリスクを伴う挑戦は好まず、真面目にコツコツ働きたいという志向が強いことがうかがえます。キャリアアップという観点では、管理職へのキャリアといった興味や関心度は薄く、仕事とバランスを取りながらプライベートの充実を重視する傾向も強いといえます。大きな仕事を突然任せても、重荷に感じてしまう傾向もあります。ただし、仕事をおろそかにするわけではなく、今後のキャリアや安定のため真摯に仕事へ取り組む姿勢もあるので、上司としては、仕事を細かく分けて依頼し、スモールステップを踏んで成功体験を積むことで成長を促すとよいでしょう。

2.ワークライフバランスへの高い意識

同調査によると、「デートか残業か」では、「残業」(一昨年度80.8%→昨年度76.9%→71.0%)「デート」(19.0%→22.6%→28.7%)と、「デート派」が増加し6.1ポイント増。また、 「上司や同僚が残業していても自分の仕事が終わったら帰る」…38.8%→48.7%(+9.9) 「同僚、上司、部下と勤務時間以外はつきあいたくない」…20.7%→30.8%(+10.1)となっています。

仕事は大切だという意識はありますが、「仕事」と「プライベート」を切り分け、自身のコミュニティや近しい人間関係を大切にしたいという意識は年々強まっています。私が講師をつとめる新入社員研修でも、残業して次の日の準備をする姿は見られますが、研修後に誘い合わせて飲みに行くという場面はあまり見られませんでした。

上司としては、勤務時間以外のつきあいについては、強制することはできませんし、なんとなく誘うのではなく目的を明確にするとよいでしょう。
たとえば、職場の人間関係を円滑にするために必要であることや、上司として部下のことを気にかけていることなどを話し、強制的なものではないので断りやすい雰囲気を作ることも大切です。

3.周りを巻き込むことが苦手

中高生の時代から当たり前のようにスマホを使い、対面ではないSNSでコミュニケーションをとってきたここ数年の新入社員。対面でのコミュニケーションが苦手というよりも、ルールがそもそもよくわからない、というのが本音のようです。SNS利用でコミュニケーションの頻度は増えているため、自分の意思を伝えたいという気持ちは強いものの、人に見られているという意識が働き、意見をいったり何かを頼んだりすることが苦手です。

このような新入社員には、コミュニケーションをとることも仕事だということを伝え、上司としていつでも話をしやすい環境を整えることが必要です。上司が忙しそうにしていると遠慮してしまい、困っているときにも、自分からなかなかヘルプを出せないのが新入社員です。「黙ってついてこい」は通用しなくなってきているので、様子を観察し、体調面・精神面で困っている様子がないかどうか、上司から声掛けをすることも必要です。

また、周りの目を強く意識する傾向にあるため、1対1でゆっくり話せる時間を定期的にもつことも効果的です。こうすることで、「実は○○に悩んでいます」というような、いい出せない悩みも聞くことができます。

まとめ

いまどきの新入社員は、育ってきた環境や文化が10年前とは激変しています。いまどきの…という言葉ではすまされないギャップが上司世代との間にあります。やる気が著しく下がったわけではなく、価値観が多様化し、無理をするより自分が心地よいと感じる生活を優先したい、と考える若者が増えているといえます。以前の当たり前が通用しなくなっていることは、マネジメントをする立場としては大変ですが、マイナスの面だけを見るのではなく、若者の行動特性をうまくつかみ、やる気を伸ばしていくことが求められています。

※参考:公益財団法人日本生産性本部 平成29年度「働くことの意識」調査

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