アラフォー・クライシスへの対策を考える

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アラフォー・クライシスへの対策を考える
2018/06/22 (金) - 07:00
浅賀 桃子

2017年12月14日に放送されたNHKクローズアップ現代+では、「アラフォー・クライシス」が特集されました。この番組内で、アラフォー世代(35~44歳)は“貧困を宿命づけられた不遇の世代”として紹介されています。世代だから仕方がない、と諦める前に、アラフォー・クライシスに立ち向かう対策はないのか……以下で考えてみましょう。

アラフォー・クライシスとは

2018年6月4日にもNHK同番組で第2弾が特集され、さらなる話題を呼んでいる「アラフォー・クライシス」。改めて「アラフォー・クライシス」とはどういう「危機」なのでしょうか。

アラフォーとはアラウンド40の略語。年齢にして35歳から44歳、社会人になるタイミングで就職氷河期にぶつかり、非正規雇用のまま40歳前後になった方が少なからず存在しています。非正規雇用の条件の悪さから、結婚もできず、親と同居しているケースもみられますが、いつまでも親を頼れるわけでもありません。40歳前後の親世代の多くは70歳前後。仕事を引退し、介護や医療コストも増大する年齢ゆえ、親子共倒れの可能性も…。「7040問題」と指摘されるさらなる危機でもあります。

番組内では、アラフォー世代の月収だけが5年前と比べ低下していることが指摘されています。番組資料によると、35~39歳が-4,300円、40~44歳が-23,300円の減少となっています。一方で50~54歳は+21,100円と最も高くなるなど、格差が目立っています。

アラフォー世代の就職状況

キャリアカウンセラーとしても、この世代の方々からの転職等の相談は非常に多いと感じています。バブル崩壊、消費税率引き上げ、アジア通貨危機などの影響が重なり景気が冷え込み、最も厳しかった2000年は求人倍率が1倍を下回りました。この1990年代中頃から2005年頃まで続いた「就職氷河期」に就職活動をした方の中には、思ったような就職ができず転職を繰り返すケースが少なくありません。

多くの日本企業では、勤続年数と収入に相関関係があります。必然的に、転職を繰り返している方々の年収は上がりづらくなります。また、先述月収が5年前と比較し最も高くなっていた50~54歳世代はほぼバブル世代にあたりますが、この世代はバブル期に大量採用されていることから世代の層が厚くなっています。必然的にその下の世代であるアラフォー世代は、思うように管理職への昇進ができないといった嘆きも聞かれます。

アラフォー世代に求められること

まず、「収入を上げる」という観点から考えてみましょう。アメリカ・ハーバード大学のロバート・L・カッツ氏が「Skills of an Effective Administrator」という論文の中で、組織で働く社員に必要なスキルについてまとめていますのでご紹介しましょう。

カッツ氏は社員を経営層・中間管理職・一般社員の3階層に分け、それぞれの階層で必要なスキルを以下3つとしています。

・ヒューマンスキル(コミュニケーション・ファシリテーション・プレゼンテーション・リーダーシップなど)
・コンセプチュアルスキル(分析・創造・問題発見解決・戦略立案など)
・テクニカルスキル(業務知識・技術など)

そして
・ヒューマンスキルは階層問わず、同程度の割合必要になる
・テクニカルスキルは階層とともに必要とされる割合が下がる
・コンセプチュアルスキル(分析・創造・問題発見解決・戦略立案など)は階層が上がるほど必要とされる割合が上がる

とまとめています。

アラフォー世代にはコンセプチュアルスキルがより求められることになります。逆に言うと、「正社員経験が少ないから」「ろくな資格も持っていないから」などと、自分の可能性を狭めるのではなく、これまでの社会人生活において「コンセプチュアルスキル」を少なからず培ってきていることをアピールすることも必要です。

アラフォー世代だからできること

求められることはこれまでの世代と大差ないのに、月給は上がらないと悩んでいるだけでは前に進めません。今の職場での収入が上がらない、転職が難しいということであれば、視点を少し変えてみることをお勧めします。

たとえば、地方で暮らして生活費を下げること。株式会社ネクストと転職サイト「DODA」が共同で実施した調査によると、地方で働いた場合の平均年収は東京に比べ、アラフォー世代の場合100万ほど下がるという結果になっています。ただし生活費や住宅ローンなどを考慮すると、手元に残る(使える)お金は年間50万ほど地方のほうが多くなる可能性がある、ともしています。思いきって地方暮らしを考えるのも一つの選択肢になりうるでしょう。

そのほか、副業・複業に関しても、アラフォー世代が社会に出た当初に比べると多くの案件が存在しています。ひとりで会社の人事制度や給与制度を変えることは難しくとも、これまでのスキルをパラレルキャリアなどの形で活かすことならできるはずです。

人生100年時代がすぐそばにきている今日、「アラフォー・クライシス」を乗り越え「絶望」から「希望」をつかめるアラフォー世代が増えることを望みます。

asakamomoko

浅賀 桃子

ベリテワークス株式会社 代表取締役・代表カウンセラー

ITコンサルティング会社人事などを経てカウンセラーとして独立。2014年ベリテワークス株式会社として法人化。ビジネスパーソンのメンタル不調者やキャリアチェンジに悩む方のケアを中心に、カウンセリング実績5,000名超。予防カウンセリングに強みを持ち、ストレス・メンタルヘルス・キャリアデザインなどのセミナー多数開催。キャリアコンサルタント、メンタル法務主任者、メンタルヘルス・マネジメント検定I種、ストレスマネジメントファシリテーターなどの資格を持つ。スヌーピー研究をライフワークとし、2015年NHKおはよう日本で紹介される。

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