人事異動の季節!意に反する異動・配置転換を拒否したら?
浅賀 桃子
2017/03/29 (水) - 08:00

4月は年度の変わり目に伴い、人事異動を行う会社が増える季節です。自分の意に反する配置転換を言い渡されることもあるでしょう。そんなとき、皆さんはどうしますか?「拒否したいけれど、拒否できるのかどうかわからない」という方もいらっしゃるかもしれませんね。本記事では、人事異動を告げられた場合の対応について取り上げていきます。

人事異動が行われる目的

人事異動とは、従業員の部署や勤務先などの配置や地位を変えることです。代表的な目的は以下の通りです。

1.昇進・降格 特に説明は不要でしょう。

2.適材適所への配置転換 会社の成長とともに、組織にて発揮されるパフォーマンスも変わってくるものです。そこで、適宜適材適所への配置転換を行います。

3.従業員の成長のため たとえば、技術職で入社した従業員が営業職に異動になるケースがあります。営業職では見込み客へのアプローチやヒアリングから自社の商品のプレゼンテーション、クロージング、受注後のフォローなどのプロセスがありますが、ヒアリングやプレゼンを企画する能力などは、営業職に限らず業務の中で役に立つスキルです。このような理由から、営業職以外で入社した従業員にも一定期間営業職を経験してもらう企業も存在します。

4.会社の体制変更のため 社会情勢が変動している今日では、企業も「現状維持」では生き残れません。時には新規事業の立ち上げや、リソースを集めたい事業、収束させる事業などを判断していくこともあります。このようなときに、既存部署から新規部署へ異動になる従業員が必要になってきます。離職者の代替要員としてということもありえるでしょう。

意に反する配置転換は拒否できるのか

筆者はカウンセラーとして転職希望者の相談に乗る機会が多くありますが、「人事職としてキャリアを積んできていた矢先、営業職への異動を告げられたので、転職を考えている」といった異動がらみのご相談をいただくことも少なくありません。中には「配置転換を拒否することはできますか」「拒否したら、どういうリスクがあるのでしょうか」というご質問を受けることもあります。

大前提として、従業員は企業の業務命令に従わなければならないことから、正当な理由がない限りは配置転換を拒否することはできません。正当な理由なく拒否した場合は制裁として給与ダウンの可能性もあります。企業の就業規則での記載にもよりますが、「解雇」となるケースもありえます。

ただし、「正当な理由がある」と認められるケースでは、拒否することができます。

拒否できる「正当な理由」とは

1.採用時の契約書で「職務や勤務地が限定される」ことが明記されている 勤務地が限定されている前提の採用にもかかわらず転勤を命じられたり、「技術職」としての専門職採用にもかかわらず「企画職」へ異動になったりといったケースは、業務命令以前に「契約違反」になりますので拒否できます。

2.やむを得ない育児や介護などの事情がある 育児・介護休業法第26条では、「事業主は、(中略)その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない」と定められています。たとえば、要介護認定を受けている親の面倒をみていた従業員が転勤を命じられたケースにおいて、親の面倒を他にみる人がいない場合や、「難病の子供を育てなければならず、診てもらえる病院が限られるため転勤は難しい」といった場合は人事異動を拒否する正当な理由として認められると考えられます。

3.業務上の必要性がなく、目的が不当である 大手有名企業での「追い込み退職」の問題が大きく報道されました。このような退職強要や、明らかな嫌がらせ目的での異動であると認められる場合は拒否することができます。ただし、「スキルアップのため」「新設部署に必要な人材だと判断したため」など、企業側も相応の理由をつけてくる可能性が高いため、「業務上の必要性がない」「不当である」ことを証明することは難しいことも多いです。

人事異動を告げられた時の対応

上記3つのケースにあてはまらない場合でも「納得いかない」と、退職や転職を考える人もいらっしゃいます。企業の方針として「営業職を一定期間経験してほしい」と思っていたとしても、本人がどうしても「人事としてのキャリアを途絶えさせたくない」と考えているような事例に筆者もよく遭遇しています。退職や転職自体に問題はありません(会社が退職を拒否したり、退職までの期間の給与を下げたりといった扱いはできません)が、自身のキャリアを左右する重要な問題であるだけに、「異動のショックから突発的に転職を」といった判断は避けたほうが良いでしょう。なぜこのタイミングで異動になるのかについて上司や人事に確認をしたり、「ずっとその部署というわけでもないだろうから頑張ってみよう」と気持ちを切り替えたりすることで得られる気づきなど、メリットもあることを念頭に置いた上で判断をして頂きたいと思います。

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