もう一度働き方の順位付けをしたら、あなたの人生はどう変わるんだろうか

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もう一度働き方の順位付けをしたら、あなたの人生はどう変わるんだろうか
2017/07/31 (月) - 18:30
SELF TURN ONLINE 編集部

今大事に思っていること、優先させたいことは、本当に大事で優先順位が上なんだろうか? 諸説ある「RESORT(リゾート)」の語源の中に、「Re Sort(リ・ソート)──一度立ち止まって自分自身を見直し、もう一回大切な順に並び替えること」があります。自分の中で順位付けをした結果が、新しい仕事やフィールドに導いてくれるのかもしれない。日本人材機構は、そんなことを考えています。そこで、働き方=生き方を並び替えてみるイベント「SELF TURN Re Sort=セルフターン・リ・ソート」を(株)スノーピークビジネスソリューションズ、NPO法人ETIC.、(株)FIREPLACEと共同企画することに。その第一歩として、キックオフイベントを2017年7月22日、神奈川県川崎市で開催しました。

都市の隠れ家リゾートに集まってきた人たち

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JR川崎駅から徒歩6分のビルにある「ロックヒルズガーデン」。屋上とその下の階をパーティや研修、女子会や結婚披露宴などさまざまな用途に貸し出しています。 
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会場設営はスノーピーク製品で。キャンプ用のランタンがリゾート感をかき立てます。

夏の土曜日、夕方の川崎駅。人々が行き交う駅周辺の混沌を抜け、とあるビルの屋上に上がると、そこには別世界がありました。ウッドデッキが張られたフロアにキャンプ用のテーブルとチェアが並べられ、その横には煙を上げるバーベキューグリル。バーカウンターやらキャンプ用シェルターやらも設置されています。グランピング施設──ではなく、ここが本日「SELF TURN Re Sort」会場のFIREPLACEが運営する「Rock Hills Garden」。キャンプ場のように見えるのもそのはず、会場設営は今回のイベントを共同企画したパートナーでもある、FIREPLACEとスノーピークビジネスソリューションズによるもの。同社はキャンプ用品メーカー「スノーピーク」の別業態で、こういったイベントや研修などを手がけている会社です。「Re Sort」が「RESORT」と結びつくのは、ごく自然なことですね。
日暮れが近づく18時頃、参加者が集まってきました。キックオフということもあり、その顔ぶれは主催者やスタッフとつながりのある、首都圏で働くビジネスパーソン、そして地方企業の経営者です。バーコーナーでドリンクを受け取り、席に着きます。テーブルには、ランタンが雰囲気よく光っています。

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屋上に広がる、隠れ家的リゾートスペース。向こうに見えるのはJR川崎駅。

Re Sortして実現した「中津川 THE SOLOR BUDOKAN」

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イベントの幕開けは、「これからの共働のあり方」がテーマのトークセッション。登壇者は、東京にある音楽制作会社ワイズコネクションの松葉泰明氏と、名古屋のデザイン・企画会社プールの河合佳孝氏。2人は「中津川 THE SOLAR BUDOKAN」の企画制作を手がけています。SOLAR BUDOKANとは、100%ソーラーエネルギー(太陽光発電)を活用して行われる野外のロック・フェス。岐阜県中津川市で2013年から開かれています。もともと2012年に日本武道館で実施された、すべてを太陽光発電でまかなうコンサートが始まりです。前年の東日本大震災を受け、エンターテイメントに電気を使うのは……という風潮が漂っていました。でも、みんながハッピーになる音楽を再生可能エネルギーの太陽光発電でやったらどうだろう、とミュージシャンの佐藤タイジ氏が発案。松葉氏と共に実施方法に悩んでいたとき、蓄電池を売り込みに来たのが河合氏でした。蓄電池メーカーのブランディングを請け負っていた河合氏がもともと音楽好き(長い間DJも続けている)だったこともあり、太陽光で武道館コンサートという話を聞きつけて飛び込み営業をかけたのだそうです。結果、コンサートは大成功。次に河合氏は「岐阜県の中津川で野外フェスをやろう」と提案しました。
中津川は、60年代に野外フェスの走り「中津川フォークジャンボリー」が行われた場所。その歴史に導かれたのかもしれません。手探りで2013年からスタートしたSOLAR BUDOKANは年々規模を拡大し、2017年で5回目。広く知られる野外フェスに成長しました。
「音楽業界と太陽光発電を結び付けたとき、そして東京のエンタメ業界と岐阜の自治体が結び付いたとき。それらが僕の転機でしたね」と松葉氏。河合氏もうなずきます。震災をきっかけに自分の中で大切な物をRe Sortし、SOLAR BUDOKANが生まれたと言ってよいでしょう。
「おカネはビジネスをやっていく上で重要。でもやりがいや、『青春よもう一度』という気持ちの方が上かもしれない」「やっぱり人間関係が一番大切でしょう」「みんなが笑顔でいられる(フェスの)2日間をつくりたい。そのためにあとの363日は必死で働く」という、働き方を考え直す言葉も聞けました。
中津川はいま「音楽のまち」を宣言し、高校生やオヤジバンドのコンサートも盛んになっています。また、有名なギターメーカーがあることも周知されてきましたし、特産の栗の木を使ったドラムは、これからの名産品になりそうです。SOLAR BUDOKANがきっかけとなり、何もなかった駅前にはコンビニができ、訪れた人たちが地元名産の和菓子に感動し、リピーターになったり、地元への波及効果も拡大中。「どんなことを中津川でやっているか、一度見に来てください」と締めくくりました。

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「中津川にはローカルだけれどグローバルに展開しているブランドが育っている」と松葉氏(左)。ギターメーカーのヤイリやタカミネなどが代表格です。 
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「中津川は自然豊かな町。僕らのような40代のファミリーにもっと来てほしい」と話す河合氏(右)。キャンプにも力を入れているそうです。

「楽しみながらやり続けるのが最優先」と旅をしながら気づいた──GAKU-MC

次に登場したのがGAKU-MC氏。EAST END×YURIのメンバーとして「DA.YO.NE」などのヒット曲を連発、1995年の紅白歌合戦にも出場しました。ユニットの活動中止後はソロ活動に転じ、プライベートでは2人のお子さんの父親でもあります。
GAKU-MC氏は今、「アカリトライブ」という活動をしていることでも知られています。キャンドルを灯し、その灯りでライブを行い、会場で集めたメッセージを東日本大震災の被災地へ届けるというプロジェクトです。震災発生後、キャンピングカーで全国を回りながら歌い、各地で集めたメッセージを被災地に送る活動をしたのがきっかけです。
壇上では、アカリトライブにも関わっている松葉泰明氏が聞き役に回り、いろいろな話を引き出していきます。
「アカリトライブは、他の国でもできることがわかった」と、ミクロネシアやパラオ、アメリカのオレゴン州などでも開催しました。心地よい音楽とキャンドルのゆらぎは、人類共通の癒し要素なのですね。そして、各地でライブを続けるうちに「旅心に火が付いた」と、家族4人で船旅に出て2カ月間で世界一周してきました。「週末は仕事で家を空けがち。子どもがいちばん可愛い時期に一緒に過ごせないのはもったいない」と決行した旅でした。船中ではギターを弾いて他の乗客のために歌ったり、サッカーをしたり──やりたいことを、やれるうちにやっておく、に気づいたのはこの旅がきっかけでした。
今日のテーマに即して、今いちばん優先しているのは何?という松葉氏の問いに、「おカネ(笑)」と答えるGAKU-MC氏。「家族の幸せやメンバーや会社のみんなの生活を回していかなければならないから。でも、どう楽しみながらマネタイズできるかが大切。楽しくなければ続かないでしょう?」。この想いは、ジャンルの壁を越えています。「MIFA=Music Interact Football for All」という団体を立ち上げ、サッカーと音楽という世界の二大共通言語でみんなを幸せにするプロジェクトを始めました。東京の豊洲ではフットサル場も経営。また、アパレル関連のビジネスにも進出しています。やりたいことをやり続けるには、楽しみながら。GAKU-MC氏のRe Sortには、旅することが深く関わっていました。

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参加者に、「普段のライブに来る客層とは違うけれど、今日の僕の話や音楽がみなさんに届いたら、その先の人にも届くんじゃないかな」と語るGAKU-MC氏。 
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トークセッションのあとは、アコースティックライブ。最初静かだった客席を煽りながら乗せて行くのは、さすがラッパー。曲目は、「昨日のNo, 明日のYes」「月がきれいです」。1曲目は客席とのコール&レスポンスが楽しいナンバー。2曲目は、「I love you.」の日本語訳について訊かれた夏目漱石が「月がきれいですと言えば伝わる」と言ったという逸話からできた曲。しっとりとした時間がしばし屋上に流れました。

自分の人生に、優先順位を付け直すワークショップ

この夜のメインイベントは、この会場にいる人たちにとって今何が大切なの?それは本当にそうなの?──Re Sortしてみようよ、というワークショップでした。8つのテーブルに、参加者は5人ずつ分かれて着席。実はこのグループ分けにはある意図が入っています。共同企画したNPO法人ETIC.のプロジェクトである「YOSOMON!」の関係者が1人ずつ配されていたのです。YOSOMON!とは、地方企業へ経営者の右腕となる人材を送り込み経営革新を図るプロジェクト。これに関わる地方企業経営者やスタッフが、テーブルごとに議論を活性化させる役割を担っていました。
各テーブルではひとりずつ「経済的豊かさ」「精神的豊かさ」「専門性の豊かさ」「時間的豊かさ」「人間関係の豊かさ」という5枚のカードを、その時思っている優先順位を付けて並べます。自己紹介がてら、なぜそうなのかを説明し、でも本音ではこうかも、将来はこう変わるかも、と再び見直した優先順位で並べ替えてみます。これがその人にとっての「Re Sort」、人生の優先順位。今まで気付かなかった自分の本音が出たり、抑えつけていた気持ちが出たりと、新たな気づきが生まれます。
また、人前で自分の人生について発表することで、同席者から共感を得たりつながりができたりすることも。「同じ境遇の人と知り合えて心強かった」という声も聞かれました。
会議室のテーブルで蛍光灯に照らされて同じことをしても、もしかしたらここまで本音は出せなかったかもしれません。夜の屋外、アルコールや美味しいBBQも味わい、ランタンの灯りの下だからこそ、ここまで話ができたのでしょう。YOSOMON!からの参加者が質問したり、話を深掘りしたりしたのも効果的でした。ワークショップ終了後には、何名かの参加者から感想が発表になりました。地方で学生起業した人、小さなお子さんを抱えてフルタイムで働く人──一人ひとりに事情があって人生があって、仕事があって。だからこそこういう場での交流が、何かの化学反応を生み出します。

この夜並べ替えした人生の優先順位は、翌日からどう生かされていくか──すぐには変わらないかもしれませんが、心の中には確実に刻みこまれたはずです。何かの拍子に顔を出し、「あ、自分が行くのはこの道じゃない」と知らせてくれるのかもしれません。

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それぞれ、自己紹介を兼ねて現在の優先順位を発表。他の人は拍手でそれに応えます。こうやってカードを用意しておくと、並べ替え=ソートも容易。忘れないよう写真を撮って残しておくのもいいですね。
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ワークショップ終了後に、参加者からの感想発表の時間も。自身の境遇を語ったり、これからのビジョンを明かしたり、会場がひとつの学級になったような雰囲気でした。 
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 今回のイベントをプロデュースした(株)日本人材機構の渡邊信彦。
「なぜ政府関係機関である当社が動くことによって、Re Sortの考え方に共感してもらい、民間の機関に動いてもらうきっかけを作っていきたいと考えています。今日参加している皆さんは、それぞれが発信力を持っている人たちなので、共感したらどんどん周りを巻き込んでほしい。SELF TURNは、起業家だけではなく企業に所属するビジネスパーソンにこそ『自分にとって働くとは?を考え、人生の優先順位をその時々で自ら決めることが大切なんだ!』という気づきを感じてもらうためのムーブメントです。自分を持つことで、本当にやりたいことを見つけてもらえればと思っています。これからも、もっと大きなRe Sortイベントを計画していますので、ぜひ参加してください」
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各テーブルでは、打ち解けた会話が弾んでいます。この晩の出逢いをきっかけに、新しいビジネスが生まれたり、別の道が拓けたりすることがあるでしょう。地方からの参加者も多く、「地方で暮らすのって全然大変じゃない」という声も。その声に背中を押された人もいるかもしれません。
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塊肉を丸ごと炭火焼するアメリカンスタイルのBBQ。グリルも本格的。ちょうど宵の口のこの時間、肉の焼ける煙と香りは堪らないものがありました。
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グリルで焼かれた炭火焼ハンバーガーもふるまわれ、あっと言う間にみんなのお腹の中に。 
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日本人材機構が支援している広島の三宅本店製発泡日本酒。実はとても高価なお酒ということです。ボトルデザインもエッジが利いています。
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会場には小さなお子さんの姿も。親がいて子どもがいるからこそ、Re Sortはとても大切なのかもしれません。 
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スノーピーク製の焚き火台が熾火を演出します。夏の夜というのに、なぜか見入ってしまうのが焚き火の魅力。火を見ながら話をすると、人間の本音も出るようです。Re Sortの焚き火イベントがあるなら魅力的ですね。

SELF TURN ONLINE 編集部

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