都市消滅の危機 地域活性化のカギを握るPFI活用

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都市消滅の危機 地域活性化のカギを握るPFI活用
2018/06/07 (木) - 07:00
浅賀 桃子

日本創成会議(座長:増田寛也元総務相)が2014年5月に、日本の自治体の約半数にあたる896都市が「2040年に消滅する可能性がある」とする衝撃発表を出しました。この発表から4年、読売新聞社が「そのうち約8割の自治体で人口減がより加速する」と分析を出しました。地域活性化を考えるうえで、何か活用できることはないのでしょうか。

東京にもある「消滅可能性都市」

提言によると、2040年に消滅する可能性がある都市=消滅可能性都市とは、20歳から39歳の若年女性の人口減少率が5割を超える自治体のことを指します。その中で500超の自治体は、人口が1万人未満になることが予想されるなど消滅の危機にあるとしています。

この消滅可能性都市、実は東京にもあります。23区で唯一名前が挙がったのは豊島区。巨大ターミナル・池袋駅を抱えるだけに意外な気がすると思いますが、区民の定住率が低いことに加えて、区内定住者の出生数よりも死亡数のほうが多いことが重なった結果となっています。日本全体の出生数が2016年に初めて100万人を下回るなど、人口減少はもはや「地方だけの問題」ではなく、すべての地域にとって「自分事」として考える必要があります。

読売新聞社は、2018年に国立社会保障・人口問題研究所から公表された最新の地域別将来推計人口データから、消滅可能性都市896都市の人口動向を調査しています。その結果、北海道や東北など713自治体で人口減が加速するという状況が明らかになりました。

都市が消滅するとどうなるか

人口が減少し、都市が消滅に近づくとどうなるか。北海道夕張市の例からみていきましょう。 夕張市は、2007年に353億円の赤字を抱え財政破綻しました。現在は国の管理下で「財政再生団体」として再建に取り組んでいます。市の面積は東京23区を上回る広さながら、破綻前に6校あった小学校は1校、3校あった中学校も1校に統廃合されました。総合病院はベッド数の少ない診療所に変更され、集会施設も多くが廃止になっています。市民税も引き上げとなりました。

このように、財政破綻予備軍とされる過疎地域では人口減に伴い
・バスや電車などの公共交通機関の本数が減少
・車に乗れない高齢者は買い物に行かれなくなる
・病院も数が減り統合へ。数少ない病院に行きたくても交通の足がなく行かれなくなる
・自治体の職員の数が減り行政サービスの質が下がる(半面値段は高い)
といった悪循環になってしまうのです。

地域再生のカギを握るPFI

人口減少による公共サービスの質・量低下は地域活性化の大きな障壁になります。そこで注目されているのが、PPP/PFIと呼ばれる手法です。

PPPはPublic Private Partnershipの略で、公共施設等の維持管理や運営などを行政だけでなく、民間とも連携しながら行うことによって効率化を図る目的があります。PPPの中でも代表的な手法としてPFI(Private Finance Initiative)があります。民間の資金やノウハウを活用しながら、公共サービスの提供を民間主導で行う考え方で、もともとはイギリスで生まれた構想です。

このPFIが地域再生のカギを握っていると考えられます。実際に、多くの地域でPFIを活用した事業が展開されています。以下でいくつかご紹介していきます。

・長野県塩尻市の例
長野県の中央部に位置する塩尻市は森林、水資源などに恵まれ、製造業を中心に発展してきました。不景気等に伴い製造関連企業の業績悪化が進んだことを機に、ここ10年は人口減少に転じています。2040年には2010年比約2割の人口減が予想されています。生産年齢人口の減少により、豊富な森林資源を活用した産業が低迷する状況が続いていたことから、民間事業者との連携にて「信州F・POWERプロジェクト」に取り組み始めています。大規模な木材加工施設や発電所などの整備による新たな地域の雇用創出につなげられ、経済効果も20年間で約500~700億円とする民間監査法人の試算もあります。

・愛媛県西条市の例
愛媛県東部に位置する西条市は豊富な地下水などを有する「水の都」と呼ばれ、四国有数の工業都市として発展してきた地域です。加えてニンジン、ホウレンソウ、キャベツ、ねぎなど多くの農作物も栽培されています。しかし近年の人口流出や少子化の加速により、製造業や農林水産業における就業人口が減少、地域活力衰退の危険がありました。
そこで、市は企業や研究機関などが持つ技術力、資金力、マーケティング力などを活用した地域再生に向けた取り組みをスタートさせています。官民連携体制によって設立された株式会社サンライズファーム西条などを中心に、農商工連携による「総合6次産業都市」化を推進しています。

PFI法が1999年に施行されて約20年が経ちますが、PFI導入実績のない市町村もまだまだ存在します。PFIを活用し、民間のノウハウや資金を取り入れることで都市の消滅を食い止め、地域活性化につなげる動きが加速することを願います。

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浅賀 桃子

ベリテワークス株式会社 代表取締役・代表カウンセラー

ITコンサルティング会社人事などを経てカウンセラーとして独立。2014年ベリテワークス株式会社として法人化。ビジネスパーソンのメンタル不調者やキャリアチェンジに悩む方のケアを中心に、カウンセリング実績5,000名超。予防カウンセリングに強みを持ち、ストレス・メンタルヘルス・キャリアデザインなどのセミナー多数開催。キャリアコンサルタント、メンタル法務主任者、メンタルヘルス・マネジメント検定I種、ストレスマネジメントファシリテーターなどの資格を持つ。スヌーピー研究をライフワークとし、2015年NHKおはよう日本で紹介される。

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