ミドル世代の地方転職に注がれる、5つの熱い期待とは?
鳥羽山 康一郎
2017/04/25 (火) - 08:00

「地方転職」のメリットや可能性は、このサイトをはじめさまざまな場で語られています。しかし、「年齢というハードル」を意外に高く感じている方は多いのでは。年収、家族の理解、慣れぬ土地──心配はごもっともです。しかし、地方企業からも大都市でキャリアを積んだ人材を積極的に迎えるようになってきています。地方企業があなたに何を期待しているかを、探ってみました。

「転職35歳限界説」は既に過去のものに

今まで、「転職は35歳までにしておくべし」という忠告を聞いたことがあるかと思います。いわゆる「転職35歳限界説」です。有利に転職するなら20代、という常識も一般的でした。しかし、その常識は現在崩れ始めています。エン・ジャパン、DODAなどの転職サービス会社が行っているアンケート調査では、ミドル世代の転職が増加しているという結果が報告されています。

ミドルの転職(エン・ジャパン) https://mid-tenshoku.com/
転職成功者の平均年齢(DODA) https://doda.jp/guide/age/

2016年のDODA調査によると、同年下半期の転職者平均年齢は32.5歳で、2016年上半期から0.2歳アップ、2007年下半期に比べると3.4歳のアップとなりました。男性は33.0歳、女性は29.9歳と、いずれも過去最高を記録しています。

これは、新たなマーケットや事業領域開拓を見据える中、企画・管理系や経営の中核を担う人材のニーズが高まっていること、企業の事業課題やミッションの難易度が上がり、年齢を問わず経験や専門性を持つ人材を採用する動きが活発になっていることが要因であると上記「転職成功者の年齢調査」では分析しています。ミドル世代はそれらのニーズを満たす人材の宝庫と言えるでしょう。
さらに、転職年代の押し上げは、地方への転職事情にも深く関わるようになっているのです。

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ミドルの地方転職を進めるビズリーチの狙いとは

「SELF TURNプロジェクト」へも参画しているビズリーチでは、ウェブメディア「BizReach Regional」を2015年に立ち上げています。 https://regional.bizreach.jp/
ビズリーチはこれまで、震災復興や地域経済振興に取り組む民間企業・自治体の人材採用を支援してきたという経緯があります。これを一歩進めるための地方創生メディアとして位置付けられたサイトです。同社が今まで関わってきた地方企業への転職を果たした成功事例が多数紹介されています。そこに掲載された転職者の声をいくつか拾ってみました。

福岡市の上場企業から広島県の豆腐製造会社へ
福岡市にあるJASDAQ上場のクリーニング会社で経理を担当していたN氏。45歳で広島県三原市にある豆腐製造会社へ転職しました。日本有数の大規模豆腐製造工場を有し、成長率は右肩上がりでJASDQにも上場しています。N氏の役割は前職の経理経験を生かし、積極的な設備投資を進めるなど会社の金銭面を支えるもの。社長からは「仕事ができる」と評価され、社内からも厚い信頼を得ています。

これまでの知識や経験を還元したいと沖縄の研究機関へ
大手コンピュータ会社でビジネスウェアの開発、ネット通販会社での人材育成などを経験してきたO氏が沖縄の大学にある研究機関に転職したのは、「これまで得てきた知識や経験をこれからの人にギブバック(還元)したい」という思いがあったから。業務アプリケーションの導入やプロジェクトの統括管理を行っています。海を見ることから1日が始まる環境で、とても健全な状態で仕事に取り組んでいると語ります。

誰もやったことがない新領域に踏み込む醍醐味を
静岡県浜松市の製薬系ベンチャー企業で部長職に就くS氏。東京の製薬会社で研究室に在籍していましたが、地元で働くことを決意し転職に踏み切りました。ベンチャー企業でもある同社では、研究者を統括し、会社の業務内容や国内外の動向にも目を向ける立場です。ミクロとマクロ、両方の視点を持つことができます。前職とは違う職務範囲ですが、仕事をする醍醐味を知った上で、これからの人材育成にも注力しています。

ビズリーチが採っている採用手法は「ダイレクトリクルーティング」です。これは、経営者・役員・採用担当者が自ら候補者を見つけ出してアプローチするというもの。候補者へダイレクトにオファーが届くので、今まで年収が高かったり知名度があったりする他社へ流れていた人材を採用できるチャンスが生まれるのです。「攻め」の採用スタイルと言うことができます。データベースから地方転職の意思がある人材を直接検索できるので、求めるスキルや経験を持っている人を探し出すことが可能になっています。

ミドルの地方転職には、これだけの期待が寄せられている

このようにミドル世代の地方転職は、大きな潮流となりつつあります。迎える側、つまり採用する側にとって、ミドル世代はどんな魅力があるのでしょう。期待される5つの側面について挙げていきます。

1.「即戦力」であることへの期待
当然のことながら、ミドル世代には長い実務経験があります。しかも、それぞれの分野でのエキスパートであることも多いでしょう。育成する必要がなく、入社したその日から戦力として活躍できるだけのスキルを備えていることに期待を寄せています。

2.優れた「参謀」であることへの期待
実務スキルを備えているのはもちろん、経営的スキルへの期待も高まっています。地方のオーナー企業ではナンバー2の人材が不足しているケースが多々あります。事業再生、あるいは近い将来の経営を考えるにあたり、大都市のしかるべき規模の企業で管理職経験のある人材は「参謀」となりうる可能性を持っているのです。

3.調整力・危機管理力への期待
大企業での実務経験や管理職経験では、社内調整力を培うこともできます。立場や価値観の異なる社員をうまくまとめ上げる能力です。また、予期せぬ状況への臨機応変な対応能力にも期待が寄せられます。大企業内では日常的に行ってきたことですから、それらの能力はごく自然に備わっているわけです。

4.積み重ねた人生経験への期待
実務スキルの他にも、それなりの人生経験を重ねているのがミドル世代。人生においてさまざまな体験・危機を通り抜けて今があります。次世代経営者や若手社員たちの育成係として、最適であると見られています。また、大都市・大企業での体験談などは、彼らの見聞を広げるのにも役立ちます。

5.地方創生──志の高さへの期待
生まれ故郷へのUターンや興味のある町へのIターンとして地方転職を考えているケースはとても多いです。その町やエリアへの関心も高いと言えます。その地方をさらに発展させたい、危機を救いたい。そのために尽くしたいといった思いが、心の奥にあります。高い志で地方創生に寄与してもらうことができれば、一石何鳥にもなることでしょう。

ビズリーチによるアンケート調査では、「やりがいがあれば地方勤務を前向きに検討したい」という回答が70%にも上っています。これからの自分が本当にやりたい仕事は何なのか。それはどこで実現できるか。自らのキャリアを「棚卸し」しつつ考えてみてはいかがでしょうか。

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