年末調整・確定申告迫る!事前に知っておきたいポイント解説
浅賀 桃子
2017/12/13 (水) - 08:00

11月から12月にかけて、勤務先の企業から年末調整の資料提出を求められる季節になりました。確定申告をするという方も、年が明けると書類の準備が待っていることでしょう。何気なく遭遇しているこの制度、そもそも何のために行われているのかご存知でしょうか。事前に知っておきたいポイントを解説します。

年末調整の仕組み

年末調整の書類には、扶養家族を記入したり、生命保険料や個人年金などの証明書を添付します。これらは、税金の計算をする上で必要なデータなのです。

年末調整は所得税納付のための手続きです。個人の所得にかかる税金は、所得税と住民税の2種類です。所得税は国に、住民税はお住まいの地方に納めます。所得税の課税対象期間はその年の1月1日から12月31日の所得に対してで、住民税は前年1年間の所得に対して課税されます。

といっても、所得税を納付している実感を持っている会社員の方は案外少ないかもしれません。それは、勤務先の企業が代行で納税しているからです。給与明細書をよく見ると、毎月控除の項目の中に「所得税」名目で天引きされているのがわかります。

ただ、この毎月天引きされている所得税の額は「暫定」のものです。年間の所得が確定するのは12月の給与支払い時点であり、12月末時点の扶養家族や保険料の年間支払額等を加味して最終的な税額が決まります。

暫定的に前払いしていた所得税額が、最終的な税額よりも多ければ、「還付」という形で12月給与時に所得税が返ってきます。最終的な税額のほうが多ければ「追徴」という形でさらに所得税を納める必要があります。これが「年末調整」です。

その年最後に支払われる給与でこの処理を行いますので、給与処理に間に合うように書類を用意しなければなりません。締め切りは企業によって異なりますが、遅くとも12月初旬までには提出が求められるでしょう。生命保険料控除の証明書などは早ければ10月初旬には郵送で自宅に送られてきますので、うっかりなくしてしまったという場合は早めに再発行を依頼しましょう。子どもが年末に産まれた、あるいは年末に結婚して配偶者を扶養に入れるなど、給与計算の処理が終わった後に所得税の計算に影響を及ぼす異動事項が発生した場合は、翌年1月末までであれば企業で「再年末調整」による処理が可能です(その場合の企業側の締め切りは各企業の人事に確認が必要です)。

確定申告が必要となる人とは

確定申告は、年末調整同様1月1日から12月31日までの所得を国に申告した上で、納税もしくは還付申告をする手続きのことで、申告期間は原則翌年の2月16日から3月15日です。企業に勤めており、企業からの給与所得のみの場合は確定申告の必要はありません(ただし一部例外あり、後述します)

それでは、確定申告が必要なのはどのような人なのでしょうか。主な例を以下でご紹介します。
・不動産所得があった人(マンションやアパートを他者に賃貸している人など)
・事業所得があった人
・以下の給与所得があった人(代表例)
 ‐給与収入が2000万円超
 ‐2カ所以上から給与を受け取っていて、年末調整を受けていない給与等の額が20万円超
・退職所得があった人
・雑所得があった人(アフェリエイトやネットオークションなど)

副業として複数の給与所得がある、週末起業等で事業所得があるという方も増えていますので、自身が確定申告をする必要があるのかどうか早めに確認をしておきましょう。

身近な節税ポイント

確定申告は縁がない、と考えている会社員の方も、意外に確定申告で「還付申告」につながる節税ポイントがあります(この還付申告は上述の申告期間外でも受け付けています)。

代表的なところでは「医療費控除」です。生計を一にする親族が1年間に支払った医療費合計が(年間所得が200万円以上の場合)10万円を超える人は、確定申告で医療費控除が受けられます。10万円なんて超えないよ、という方も2017年からはチャンスです。医療費控除の特例として、「スイッチOTC医薬品」と呼ばれる市販薬の年間支払額合計が12,000円を超える場合に控除が受けられます。スイッチOTC医薬品というととっつきにくいですが、バファリンルナi(痛み止め)やアレジオン20(花粉症対策)など、意外に普段購入している市販薬が含まれているので要確認です。

ここ2~3年注目を集めつつあるふるさと納税も、確定申告で「寄付金控除」の対象とすることができます。
また、10年以上の住宅ローンを組んでいる人、自宅のリフォーム費用が100万円を超え、リフォームローンを組んでいる人なども「住宅ローン控除」の対象となります。ローンを組まなくても、たとえば自己資金でバリアフリー改修工事を行った場合は“投資型減税”と呼ばれる「税額控除」が受けられます。

これらの申告ですが、世帯によっては複数人申告可能な対象者がいることもあるでしょう。特に医療費控除や保険料控除などは、世帯各人の所得によって「誰が申告すると一番得になるか」を検討しておくと、世帯全体の節税につながります。制度をよく理解した上で慎重に準備を進めていきましょう。

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