社会貢献するには「社会起業家」になるしかない?

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社会貢献するには「社会起業家」になるしかない?
2018/06/04 (月) - 07:00
荒木 三香

「会社の利益のためでなく、社会に役立つ仕事をしたい」、「社会起業家になって活躍したい」などの理想を掲げる人も増えてきましたが、社会貢献するには「社会起業家」になることが最善なのでしょうか? 世の中を変えるチェンジメーカーになることが重要なのでしょうか? 社会課題解決の道を考えてみましょう。

社会起業家って、どんな存在?

東日本大震災以降、今までの価値観に疑問をもち、「人の役に立ちたい」、「お金より社会貢献できる仕事がしたい」などの想いを抱く人が増え、それに伴い働き方の一つとして、「社会起業家」を目指す人も増えています。社会課題を解決することを目的とする彼らは、「ソーシャル・アントレプレナー」もしくは「チェンジメーカー」ともいわれます。

「社会起業家」の定義については、いまも各方面でさまざまな議論があり、社会状況により捉え方が変化しているので、ここではあえて論じませんが、一般企業が目的としていることとの違いを端的に表すと 「営利より、社会課題の解決を目的とするビジネス」となります。
そうしたソーシャルビジネス(社会的事業)は、近年では少子化や高齢化対策、地域活性化につながるビジネスとして、政府や地方自治体などからも注目を集めている取組みの一つでもあります。

ソーシャルビジネス(社会的事業)は難しい?!

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「ソーシャルビジネスの定義」については、経済産業省が次の3つの必要な要件を挙げています。

・社会性(社会課題に取り組むことを事業活動のミッションとしていること)
・事業性(上記のミッションにビジネスの手法で取組み、継続的に事業活動を進めること)
・革新性(新しい社会的商品・サービスやそれを提供するための仕組み開発や活用)

一時的な活動ではなく継続性をもった、社会的に大きなインパクト(影響)と、事業を続けていくための収益を上げ続けなくてはなりません。そこが、社会的事業(社会的企業)の難しさともいえるでしょう。

事業形態も非営利のNPO(法人、任意団体含む)に限らず、株式会社や一般社団法人など様々で、発足当初は小さなNPO(任意団体)としてスタートし、のちに法人化させる場合と、そのまま任意団体として活動を継続している場合もあります。筆者の周囲にも、任意団体のまま(個人事業主でもある)他団体の活動を強力にサポートしている著名な方もおりますが、きちんと収益を上げながら、全国的に影響力のある活動を継続しておられます。

「何のため」、「誰のため」が最初になければ実現しずらい

では、社会課題を解決するには、社会起業家になり、企業や団体でソーシャルビジネスをしなければ社会貢献できないのでしょうか? 自身が先頭を切る、チェンジメーカーになることがすべてでしょうか?

個人的には、どうしても社会起業しなくては解決できない課題を見出し、最後までやり遂げる責任感と、強い志(ゆるぎない動機)がある方にはぜひ、社会起業塾(社会起業イニシアティブ社会起業大学)などに入り一からしっかり学び、ソーシャル・アントレプレナーになって頂きたいと強く願っています。
ただしその場合、ご自身の中に、かなり明確な目的がないと挫折してしまう可能性が高いでしょう。

誰にそれを届けたいのか? なぜ自分がそれをやりたいのか? それは他団体に合流できないことなのか?
「誰のため」と「何のため」が、「社会起業家になりたい!」より先になければ継続は厳しいですし、必要なビジネススキルの習得すら困難に感じることでしょう。それほど、勇気と強い決意を伴うものでもあります。

実は筆者がいまの事業を立ち上げる前、この社会起業について書籍を片っ端から読みあさり、多くの社会起業家の生の声を聞くため、全国のあらゆるセミナー等に参加し、自分が何をすべきか、どこを目指すべきかを、彼らの活動を直接聞きながら、徹底的に考え抜いた時期がありました。

世の中に溢れるさまざまな社会課題を解決するため、自分はどんな働き方をすべきか、どこかの団体に入り手伝うことがいいのか、自分が社会起業家を目指すことがいいのか、真剣に悩みましたが、最終的には自分のいままでのスキルと、改めて学び直すこととの融合で個人事業主として起業し、同時に復興支援のための小さなNPO(任意団体)を立ち上げ、身の丈にあった活動を開始し、ニーズに合わせながら徐々にワークシフト、ライフシフトさせながらいまに至ります。

この「セルフターン」で社会起業家をインタビューし全国の方に紹介することで、思いがけない応援につながったり、別の形で協力できるようになったことも、筆者にとっては新たなミッションであり、やりがいを感じる活動の一つでもあります。想いがあれば、何らかの形で協働したり、支援することも可能でしょう。

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社会貢献のための選択肢は一つじゃない

結論をいえば、必ずしも「社会起業家」になることが全てではないと思いますし、いまはさまざまな形で社会課題の解決に向けた取組みが可能であり、また、それを生み出すことも充分可能だと感じています。

もっといえば、いまの仕事を続けながら活動家を応援することも出来れば、少しだけ働き方を変えてみたり、地域の活動に積極的に参加することでも社会貢献することはできます。

具体的にいえば、プロボノ(※「プロボノ活動とは?社会貢献はスキルアップに繋がる?」参照)として協力したり、複業したり、雇用を創出するため地方に移住し起業したり、地方企業に入り経営支援しながら地方活性化や地方創生に一役買うことも重要な社会貢献であり、いま、国をあげて取り組む喫緊の課題でもあります。自身が起業すること以外にも、貢献できる働き方は数多くあります。

地方の人手不足は深刻で、以前の記事で紹介した事業承継問題(※「ライフシフトの選択肢になる?地方企業の事業承継」)に自ら取組むことも、注目の社会課題解決の一つです。

それでも立ち上げたい場合は、構想する事業が、既に誰かが行っていないか? 本当に自分が立ち上げるべきか? 既に存在する事業であれば、賛同して一緒に活動したり、協力することのほうが大きなインパクトになり、課題解決に向けてスピードアップできるのでは? などと検討することも重要なことです。

大切なことは、いままでのスキルを活かし自分にできることは何か? 自分にしか出来ないことは何なのか? 自分の本当のミッションは何か? をいま一度、本気で考え直してみることではないでしょうか。

荒木三香

荒木 三香

Couleuve  -クルーヴ-  代表
NPO にじ色キャンパス  代表
キャリアコンサルタント

東証一部上場オフィス構築専門商社にて、オフィスデザイナーとして「働く空間」を提案。東京・札幌・千葉・神奈川で複数の職種・雇用形態を経験したのち、夫の転職で山形へ移住。色彩心理学を元にしたセラピーや、心理カウンセリングを行う為、起業。同時期に東日本大震災復興支援のためのNPOを設立、行政や中間支援団体等と協働した支援活動にも取り組む。日本ストレスチェック協会のファシリテーターとして、ストレスマネジメント、メンタルヘルス講座等の開催、キャリアコンサルタントとしての活動も開始。その他 数種の教室運営など自らが、地方移住で複業とパラレルキャリアで活動中。

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