いざ独立!事業開始に必要不可欠な銀行口座開設の注意点とは
浅賀 桃子
2019/02/16 (土) - 08:00

起業して事業を行う際に必要不可欠なもののひとつが「銀行口座」です。開設する銀行はどこでもいいのか?銀行によってどの程度違いがあるものなのか?など、独立する前に知っておくと役立つ銀行口座に関する注意点についてご紹介します。

金融機関の種類と違い

日常生活の中では広く「銀行」と呼ぶことが多い金融機関ですが、銀行の中にも大きく分けて「都市銀行」と「地方銀行」があります。「都市銀行」とは、東京や大阪などの大都市に本店を置き、全国広域展開をしている銀行のことを指します。かつては第一勧業銀行などをはじめ13行存在していましたが、合併が続いた現在はみずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行の4行となっています。実質「メガバンク」といわれる、莫大な預金残高を抱える大手銀行と同義に使われることが多いです。

「地方銀行」は各都道府県に本店がある銀行のことで、地方銀行の中でも資産規模の多い横浜銀行、千葉銀行、静岡銀行は「3大地銀」と呼ばれています。地方銀行は多くの場合1県に1行もしくは2行ですが、近年再編が進み、都道府県を超えて地方銀行同士での合併も増えてきています。地元密着のため、都市銀行に比べ地域経済への影響力が大きいことが多いです。ただし、他の都道府県の人は知らない(支店がない)ことになりますので注意が必要です。

さらに地域に根差した金融機関として見逃せないのが「信用金庫」です。現在全国に250以上の信用金庫があります。預金者が出資者となり、地域の繁栄を図り相互扶助を目的としている点で、銀行とは仕組みが違いますが、預金や融資など、独立起業後に必要となるサービス面においては共通しています。営業地域はかなり限定され、また大企業や営業地域外の企業・個人には融資ができないという制限があることから、独立起業したての中小企業や個人事業主にとっては強力な味方になり得ます。

バーチャルオフィスでは銀行口座が開設できない?

2012年7月より、警察庁の指導により金融機関の新規口座開設が以前より厳しくなっています。設立半年以内の新設法人が銀行口座を開設する際は、通常必要な本人確認資料などに加え、税務署へ提出した「法人設立届出書」や「定款の写し」、「給与支払事務所等の開設届出書」「オフィス賃貸契約書」の提出を求められるなど、口座開設の準備がこれまで以上に必要になっています。

設立にあたっては当然、登記場所が必要になります。独立起業直後は事務所費などの固定費はできるだけ削減したいと思う方が多いでしょう。自宅での登記では来客を呼べないなどの理由で、バーチャルオフィスを安く契約し登記をする方も少なくありません。ただしバーチャルオフィスの場合、銀行口座開設を断られてしまうケースもありますので、以下の点に注意し手続きを進められることをお勧めします。

・これまでに犯罪に使用されていないバーチャルオフィスを選ぶ
バーチャルオフィスの所在地は銀行口座開設時の審査対象になります。悪徳業者による活動の拠点として使われ、振り込め詐欺などの犯罪の温床になっているバーチャルオフィスも残念ながら存在します。知らずにこういったバーチャルオフィスの住所を使用してしまうと、審査で落とされると思いましょう。住所を検索し、必要に応じて政府のWebサイトやニュースソースで確認するなど、事前調査が求められます。

・Webサイトを立ち上げる
審査の必須要件には含まれていないことが多く、またWebサイト製作には時間もかかることからある程度ビジネスが立ち上がってから作ろうと考えている方もいらっしゃるでしょう。しかし、Webサイトは審査時に事業の実態を確認する有力なツールのひとつです。現在はWixやJimdoなどお金をかけずにホームページを作成できるツールも登場していることから、なおさらWebサイトがないことはマイナスの印象を与えがちです。

・口座開設を申し込む支店は、バーチャルオフィスの所在地最寄りにする
「なんとなく丸の内に支店があったらカッコいいから」などの理由で、バーチャルオフィスの所在地最寄りではない支店に申込しようとしても、開設できないケースが少なくありません。筆者自身も法人成りする前の個人事業主時代に、拠点の住所最寄りではなく当時の取引先近くの銀行支店へ口座開設に出向いたところ、「距離が遠い」と受付をしてもらえなかった経験があります。

リスク分散の必要性

先述の通り都市銀行、地方銀行、信用金庫とそれぞれに特徴があります。口座開設にあたっての審査の時間も、都市銀行は長く、地方銀行、信用金庫と短くなっていく傾向にあります。取引の関係で、急ぎで口座開設が求められるケースなどでは都市銀行に限定せず、信用金庫や、場合によってはネットバンクでの開設を検討したほうが良いかもしれません。ネットバンクの場合窓口が基本的にないことから、Webサイト・郵送ベースで手続きが完了するなど開設までの時間が短く済むことが特徴のひとつです。振込手数料が安いケースも多いため特に独立初期にはありがたいでしょう。ただし、社会保険料や労働保険料の口座振替納付ができないなどデメリットもありますので、ネットバンクと都市銀行、信用金庫を使い分けるなどのリスク分散も必要になるでしょう。

以上みてきましたように、全体的に口座開設審査が厳しくなっている中、スムーズに手続きを済ませるための事前準備が不可欠なことは言うまでもありません。これから独立を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

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