「食と健康」をテーマに生きる。Organic Fasting主宰・山岡玲子氏

main.jpg
cat_independence
「食と健康」をテーマに生きる。Organic Fasting主宰・山岡玲子氏
2017/11/06 (月) - 08:00
(株)くらしさ 長谷川 浩史&梨紗

“ファスティング(断食)”というと、少し前まではどこかの山奥などに籠って行う、修行の一貫のようなイメージがありましたが、最近では日常の生活を送りながら取り組める身近なものになってきています。「Organic Fasting」主宰の山岡玲子さんは、これまでに約1,200件のファスティングをサポート。彼女がファスティングを仕事にするに至った訳とは?

悶々とした社会人生活のスタート

1986年生まれの山岡さんは、小学校高学年のころからなんとなく戦争や紛争、環境問題などに興味をもった子どもだったそう。そんな山岡さんが中学3年生のときに9.11のアメリカ同時多発テロ事件、高校1年生の時にイラク戦争が起こりました。

「世界ではなぜこんなことが起こってしまうのか…将来は世界平和に貢献できたら…」
そう思って、青山学院大学の国際政治学科に進学。卒業後はフェアトレードの商品や障がいをもった人たちがつくった商品などを扱うセレクトショップを展開する、小売メーカーに就職しました。

「おしゃれで可愛いモノなんだけど、実は背景には社会貢献的な意味も含んでいる。そんなモノの企画・開発に携わりたいと思って就職先を決めました。ですが、内定者時代にリーマンショックが起こって、会社の体制も変わってしまいまして…」

入社後、山岡さんは別事業部のオーガニックコスメのお店に配属されたそう。もともと自他共に認める探求心旺盛な性格がゆえ、オーガニックコスメの世界にどっぷりと浸かっていった山岡さん。自身が使う化粧品をオーガニックなものにすると同時に、食べ物や洗剤、シャンプーなど身の周りのモノ全てがナチュラル志向になっていったといいます。

01

オーガニックコスメの店長を3年勤めた山岡さんは、自身の考えにも徐々に変化が起こります。

「オーガニックコスメを選ぶお客様はなんらか肌にトラブルを抱えていたりする方が多いのですが、化粧品を変えるより内側から変えた方がいいのではないかと考えるようになりました。と同時に、自分が扱っているプロダクトよりも前、つまり素材について知りたくなったんです。でも今の会社にいてもそれはできない…」

こうして悶々とした日々を過ごした山岡さんは、新卒で入社した会社を退職しました。

転機となった、産地を巡る旅

そして、仕事を辞めた山岡さんが行ったのが、「産地を巡る旅」でした。まずは前職時代に扱っていたコスメの原料である奈良の茶畑を訪問。

「突然連絡したんですが快く受け入れてもらえて、1週間ほど手伝わせてもらいました。その後は岐阜のカモミール畑に行ったり、アメリカのカルフォルニアにあるコミュニティファームにお邪魔したり、半年ほど旅をしました」

昔から考えるより行動派と笑う山岡さん。畑を手伝ううちにある考えに至ったと振り返ります。

「草むしりしているときに自分と対話ができたんですよね。やっぱり私は『食と健康をテーマに生きていきたい』って。魅力的な生産者さんのことを知れたから、自分はそれを伝える立場でありたいと思いました」

02
▲訪問先の山梨の農家さんと

独立へ向けての準備期間

この頃の山岡さんは、自分のやりたい方向性は分かったものの、具体的に何を仕事にしたらいいかがまだわからない状況でした。

「自分はまだちょっとした健康オタクなだけ。まずは栄養学の勉強をしたいと思いました。それでもそろそろ貯金も底を尽きてきていたので、学生時代にインターンでお世話になっていたベンチャー企業の社長に相談したところ、手伝わせてもらえることになりました」

アルバイトで入社したはずが、やり始めたらのめり込んでしまうタイプの彼女は、3ヵ月で正社員に。昼間はITの広告営業として働き、夜や週末に資格の勉強をする毎日が続きました。

そんな折、山岡さんにとっての運命の出会いが訪れます。ファスティングの世界に入るキッカケとなった師匠との出会いでした。

「友人に誘われて行った食事会で、ファスティングを仕事にしているAさんに出会ったんです。その方は男性なんですが、外見がムキムキでとてもファスティングをしている人には見えなくて(笑)。それまでファスティングは、やってみたいけど痩せこけていきそうでちょっと怖いというイメージだったので、ガラッと印象が変わりました。Aさんの知識量もハンパなくて、『どうやったらあなたみたいになれますか?』っておもわず聞いていました(笑)」

山岡さんは、Aさんと出会ってすぐに「ファスティングマイスター」の資格取得に向けて行動。
「Aさんを見習って、ファスティングサポートを仕事にしたいと思うようになりました」

2015年に「ファスティングマイスター1級」に合格した山岡さん。勤めていた会社は複業が認められていたこともあり、半年ほど二足の草鞋を履いた状態で仕事を続けたといいます。

「そのころ、営業の仕事も楽しくなってしまっていて。だけど本当にやりたいのはファスティングの仕事…このままだとどっちつかずになってしまうと思って、2015年6月にIT企業を退職しました」

03
▲2016年10月には、多くの人にファスティングを伝え、ファスティング文化の発展に尽力したことでファスティングマイスター学院から文化功労賞を受賞

食べ物により興味を持つように

「食と健康」というテーマからファスティングに行き着いた山岡さん。その魅力はどんなところにあるのでしょうか?

「ファスティングはそれ自体もいいものですが、その後がいいんです。食を断つことで味覚、嗅覚がリセットされて鋭くなるんですよね。野生に戻るというか(笑)。素材の味を楽しめるようになります。添加物などダメだダメだと思って手放すのではなく、自然とそれが行えるようになるんです」

山岡さんが行うファスティングは、日常生活を送りながら行うホームファスティングという形式。個人に合わせた断食プログラムの作成とプログラム中のメッセージでのやりとり、そして食生活アドバイスもするそう。

「ファスティングをして肌が綺麗になったり痩せたりすると、それを維持したくなる。そのために何を食べたらいいんだろう?など、食べ物にもより興味をもつようになるんです」

04
▲毎年、味噌づくり教室も開催

好きなことをひたすら追求する

独立して2年が経ち、順調に日々を過ごしているという山岡さん。これまでお客さんは口コミのみで集まり、今の所集客に苦労したことがないと話します。山岡さんのように資格を取ったら、すぐに仕事として成り立つものなのか気になります。

「資格を取るなかではなかなかそこまでは教えてもらえません。集客やお客様とのやりとりなど、ビジネスとしての組み立て方は師匠に教わりました。営業の仕事もしていたので、そこで学んでいたこともありましたね。あとはやりながら日々改善です」

例えば、プログラム中のメッセージサポートは時間を問わず発生するものだそうなのですが、お客さんから多く出る質問を予め説明しておいたり、ホームページにQ&Aを載せておいたりすることで、夜中などの対応は減ったそう。

今後については、ファスティングの普及をするために、仲間の育成や普段の食生活に関わる指導もしっかりやっていきたいと話す山岡さん。

「この仕事は一ヶ所にいないとできない仕事ではないので、どこか暖かいところにも拠点を置いて、二地域居住で仕事をするのもいいですね。旅をしていたときに、日本ってこんなに素敵な場所があるけどまだまだ知らないって思ったので」

最後に、やりたいことの方向性は見えているけど何を仕事にしたらいいか分からない人や、そもそも何をやりたいか模索中の人に向けてメッセージをいただきました。

「今の私があるのは、好きなことをひたすら追い求めてきた結果です。追求したいテーマがある人はそれを追求する、ない人はちょっとでも興味があることをまずはやってみることからでしょうか。あとは、日常と違う環境に身を置くことで見えてくるものがあるかもしれませんよ」

ちなみに山岡さん、社会人になってから長年シェアハウスに暮らしていたそうなのです。フリーランスのデザイナーや作家、エンジニアなど、多種多様な職業でそれぞれ自由な生き方をしている人たちと一緒に住み、日々刺激を受けていました。

「時間と場所に縛られない、ある程度自由のある生き方をしたいと思うようになったのは、このシェアハウス時代の影響かもしれませんね。みなさんも少しでも面白そうって思うことがあったら、ぜひ行動してみてくださいね!」

profile

山岡玲子(やまおかれいこ)さん

株式会社be Organic代表取締役・1級断食指導者 1986年、愛知県生まれ。オーガニックコスメ店・店長を経験後、食の生産現場巡りをフィールドワークにし、食と健康をテーマに学ぶ。2013年ファスティングに出会い、一般社団法人分子整合医学美容食育協会認定の1級断食指導者に。2016年be Organicを立ち上げる。

くらしさプロフィール写真

(株)くらしさ 長谷川 浩史&梨紗

広告出版社を退職後、世界一周の旅へ。
海外で受け入れられている日本文化≒COOL JAPANと、
日本が学ぶべき海外の文化≒BOOM JAPANを発信しながら40ヵ国を巡る。
その後日本一周の旅へ。全国各地に根ざしたモノコトヒトを取材・発信する。
現在では、(株)くらしさを起ち上げ、
日本各地の「らしさ」を伝え、つないでいく活動に尽力している。

世界一周HP:www.cool-boom.jp   
日本一周HP:http://www.muji.net/lab/blog/caravan/   
くらしさHP:www.kurashisa.co.jp

このエントリーをはてなブックマークに追加

FEATURE

特集

サムネイル
サムネイル
サムネイル