成長するクラウドファンディング 独立起業でどう活用する?
渡部 幸
2018/02/07 (水) - 07:00

「クラウドファンディング」というワード、みなさんも耳にすることが多くなったのではないでしょうか。急速に成長している、ネットを通じて多くの人からプロジェクトの資金を集める方法です。今回は、独立起業する人が活用する場合、理解しておくべきポイントを解説しましょう。

クラウドファンディングとは

まず、クラウドファンディングとはどんなものでしょうか。「こういった企画やサービスを提供したい」と考えた人や企業、団体が賛同者を募り、アイデアを実際に運用する形にしていく方法のことです。日本でももともとは古くから「寄付」という形で根付いていましたが、現在は、インターネットを通じて全世界から賛同者を募ることができるようになっています。

また、日本では、2011年、東日本大震災の際、被災地復興事業への資金集めで広く知られるようになり、現在、クラウドファンディングサイト「READY FOR」をはじめ、多くの目的別サイトが活発に運営されています。

このように盛んになった理由には、誰もが自分の意志で参加する気持ちが味わえる共感性や、プロジェクトが成立するのかしないのか、期限までに答えがすぐ出ないワクワク感、達成したときの喜びを一緒に味わえる点、魅力的なリターンがあること、などがあげられます。従来の寄付の形態よりも、ずっと参加の喜びが増した点が急速な成長の要因の1つといえるでしょう。

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングの種類には、いくつかの分け方があります。

・集めた資金が目標額に達しないとそのプロジェクトが成立しないタイプ
・集めた金額がいくらであっても、プロジェクトの実行は確約されているタイプ

という分け方や、

1.集めた資金へのリターンはない寄付の形
2.出資者がプロジェクトの利益から配当という形でリターンを受け取る投資の形
3.出資者がプロジェクトから支援のお返しという形でサービスや商品をといったリターンを購入する形

といった、リターンの有無や種類による分け方です。

現在、日本では、プロジェクトの成立が目標金額達成によって左右されるものも、プロジェクト自体は成立が約束されているものも両方行われていますが、共感の盛り上がりや、成立がどうなるか、といったゲーム性は前者のほうにあります。

また、急速成長の理由からも、1の寄付のみの形よりは、3の支援のお返しをリターンとして受け取れるという形のほうが受け入れられているといえるでしょう。

独立起業した人が活用する場合のポイント

このように、クラウドファンディングは、現在多くの新しいアイデアを形にする場面で活用され、その種類は、新しい商品の開発や、映画の製作、書籍の出版、地方の町おこしなど、幅広い分野に渡っています。今後、独立起業した人は、この方法を活用していくことはもちろん可能ですが、その場合、何を目的とするのか、自分の中でしっかりと明確にすることが必要です。

自分が行っている事業への共感や応援を集めて認知度を高めたい、という目的なのか、資金を本当にしっかりと集めてプロジェクトをその活動によって成立させたいのか、活動の一部資金になり、賛同者を集めることができればよいのか、といったことを明確にしておきましょう。

資金を本当にしっかりと集め、プロジェクトをその活動によって成功させたいのであれば、これが集まらないとプロジェクトはできない、という方法のほうが必死に集める気持ちも高まるのではないでしょうか(ただし、本当にクラウドファンディング以外の資金調達の方法は取らないのか、など、集まらなかった場合のリスクも検討する必要があります)。

逆に、もうこのプロジェクトを進めることは決定していて、そのうえで応援してくれる人、利用してくれる人を広く集めたいのだ、ということなら、プロジェクト成立は決定している方法のほうがよいでしょう。目的によって、取ったほうがよい手段や方法も違ってくるので、よく考えることが重要です。

事業者の役割と責任

最後に、クラウドファンディングを実施する場合、事業者としての責任があることを理解しておくことも重要なポイントです。支援してくれる人と資金を目標通りに集めた場合は、そのプロジェクトは必ず実行する必要があります。世界では現実に、成立したクラウドファンディングなのに、そのプロジェクトが結局は実施されなかったという現象が起こっています。資金を集めるからには、実行まで責任を持ってやり遂げなければならない役割があることを肝に銘じた上で行わなければなりません。

また、最近は多くの呼びかけがあるため、必ずしも共感だけで資金が集まるとは限らない状況になってきています。魅力的なリターンを考えたり、告知の方法を工夫することがより重要です。多くのサイトで実施されているクラウドファンディングをよく研究し、効果的な伝え方を考えていくようにしましょう。

クラウドファンディングは、多くの共感の輪や認知の広まりをつくることもできます。素敵なリターンを考えて、支援する人たちと楽しみながら進められる内容をつくっていくことが大切ではないでしょうか。

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