今あるものに新しい価値を与える大切さ‐株式会社ニューズピックス 古屋荘太氏

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今あるものに新しい価値を与える大切さ‐株式会社ニューズピックス 古屋荘太氏
2018/02/15 (木) - 07:00
SELF TURN ONLINE 編集部

2018年2月23日から3月11日に東京ミッドタウン・デザインハブで開催される「地域×デザイン2018」において、SELF TURN実践者または地方で多様な働き方を推し進める企業を、「SELF TURN× Work Design Award」として表彰することが決まりました。今回は同アワードの「新事業・新産業部門」の審査員に選ばれた株式会社ニューズピックスの古屋荘太さんを紹介します。古屋さんは「経済情報で、世界をかえる」をミッションにソーシャル機能を兼ね備えた、経済ニュースプラットフォームを提供している「NewsPicks」のプロデューサーとして活動をしています。

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古屋 荘太(ふるや そうた)さん

大学卒業後、JCB・博報堂DYインターソリューションズ(現博報堂DYデジタル)・出版エージェントなどを経て、株式会社ニューズピックス コミュニティチーム エージェント/プロデューサー。現在はNewsPicks公式コメンテーター「プロピッカー」の発掘、J-WAVEとのコラボ企画「PICK ONE」などを担当。

出版エージェント等を経て、NewsPicksプロデューサーに

――これまでの経歴について教えてください

2004年、JCBに入社しました。クレジットカードは金融ですが、もともと人のインタフェースに興味があって、テクノロジーの変化によって広い意味でメディア的な役割を担うのではないかという思いがありました。ただインフラ管理の仕事が中心だったのと、自分がかかわれることは一部だということもあって、2年目で辞めました。その後フリーのライターとして働きながら博報堂と仕事をするようになりました。JCBも博報堂も学生当時(今ほどインターンが当たり前ではなかったころですが)運よくインターンをしていた縁もあって、お誘いをいただきました。

入社した博報堂DYインターソリューションズ(現博報堂DYデジタル)では、今の仕事の原点であるブロガーを集めてメディアにするということをやっていました。2006年頃は、ちょうどブログが普及し始め、CGM(コンシューマー・ジェネレイテッド・メディア)と呼ばれる、ユーザーが自分たちでつくっていく時代です。有名でなくとも、様々な人が創るコンテンツは面白いと思い、それをみつけてくることが自分の興味になっていました。関わったブロガーさんが独立して会社をつくるなど、人の働き方まで変わっていくのが面白いなと。

その後、メディアのなかでも本が好きだったこともあり、出版コンサルティング会社へ入りました。新たな作家や書籍企画を発掘する仕事で、関わった著者の本がベストセラーにもなりました。
ただ、少人数の会社でハードに働いていたことや子どもが生まれるタイミングもあり、仕事をフリーランスでやることにしました。自分のペースで働けてよかったのですが、3年半くらい続ける中で、もう少し(仕事の)ギアを上げたいと思っていたときに今の会社との出会いがありました。NewsPicksが立ち上がってから約2年が経った頃でした。

こう振り返ると、私自身が大企業もベンチャー企業も、フリーランスもやって、働き方の多様性を経験していますね。

未来を自分の大切な価値観からつくれるかどうか

――古屋さんにとっての「自分らしく はたらく」とは?

社会人としてある程度働くと、今まで得た経験や知識で考えがちだと思います。自分はこれをやってきたのでこの仕事ができます、とか。しかし、過去の蓄積よりも「自分はそもそも何をしたかったのか、今、本当にやりたいことをやれているのか」の原点と今の気持ちを大切にすることではないかと思います。自分の中で凝り固まった常識を整理、リセットして、今までの発想ではできなかったことをやらないといけない時代ですから。

自分らしく働くためには、過去の延長ではなく「未来はこうあるべきだ。だからこうしたい」という、未来を自分の価値観からつくれるかだと思います。「今の自分らしさ」より、「未知の自分らしさ」があるかどうかです。

想定外や未来に対する未知性は、自分らしく働く原動力になると思っています。働く環境や業界が固定されていて「これはこうなんだ」と思ってしまうと、考えも固まってしまいますよね。ずっと東京にいるとか。

「らしく」をどう定義するかですが、芸術家の岡本太郎さんは、「人生は積み重ねだと誰でも思っているようだが、逆に積み減らしだと思う」ということをおっしゃっています。経験とか年齢とか積み重ねてくるわけですが、どうやってそれらをきれいに「いやそうじゃないよね」というところにもっていけるのかがポイントなのかなと感じています。

――重ねることを良しとするようななかで、あえてリセットすることで見えてくる「らしさ」があるのかもしれませんね

「どうにかなる」と開き直れる良さがありますよね。今は変わることが当たり前になってきています。動き続ける、変化し続ける中で「らしく」なるのではないでしょうか。たとえれば「回転しているコマ」みたいなものです。回っているから立っている。止まっていたら倒れている、という。

SELF TURN×Work Design Award 受賞者表彰ポイントについて

――今回アワードの「新事業・新産業」部門の審査員を担当していただきました。SELF TURNをし、地域で新事業を実現し、社会に影響を与えている個人を表彰することになりましたが、どのような観点で選ばれたのでしょうか

新しいことも、まったくの0からということはないと思っています。「今あるものにどんな新しい価値を与えていくのか」が大切だなと思っています。今あるものはすでに生活に浸透していて、そこにどんな工夫をしたら風景が変わっていくのか。新卒で入ったJCBでいえば、クレジットカードが今ではApple Watchに入っているとか。今あるものをどう見直すかはポイントです。つまり、新しいことをやるためには既存のものを知らなければなりません。

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テクノロジーとかスマホとか、新しいものが生活を便利にしているように思えても、結局は人間が触って使うものなので、デジタルな世界が進めば進むほどアナログが大事になります。NewsPicksのプロピッカーとのご縁も、メールだけ送って「はい、やってください」ではダメで、直接会うこと、そして、継続的にかかわり続けることが大事になります。何か新しいことを始めるにあたっては、人間関係などのアナログなことが大事になってくると思います。

社会への影響でいうと、その人の話をきいて「いいな」と思って、その人の「他の誰かの行動を変えるだけの何かがあるか」は重要ですね。地域の活動でいうなら、いいねといってくれた人が本当にその地域まで来てくれたのか? さらに移住してくれたのかなど、次のアクションを促すことが大切です。

――NewsPicksもそういった観点を踏まえて運営しているのですよね

NewsPicksでも現場で行動する人や挑戦する人のためのメディアでありたいと考えています。このため「教養×実学×行動」をテーマに有料会員組織「NewsPicksアカデミア」を2017年から始めています。良いことは世の中にたくさんあるけれど、経済やビジネスを動かせるか、実際に行動してもらえるかを考えています。

NewsPicksの記事を読んで、「これからの仕事をこう変えてみよう」と意識が変わってくれば次の一歩です。さらにビジネスの選択や、意思決定を変えることができて、世の中が少しでも良くなるようにというところまで進んでいければ、ミッションである「経済情報で、世界をかえる」ことに少しでも近づけるのではと考えています。

地方で新事業を立ち上げたいと考えている人へ

――地方創生や働き方改革が注目を集めるなか、これから地方で新しい産業・事業を立ち上げたいと考えている人へ、ポイントとなることについてアドバイスをいただけますか

実際に地方で事業をしている知り合いと話す中で思っていることですが、地方で何かをやろうと思うのであれば、都市のニーズを知らなければならないと感じます。都市にあるけど地方にはない、あるいはその逆を把握する。自分たちにあるものないものを考えていかに足りないものを調達するか。

今地方で働いている人でも、地方から出たことがない人よりも、一度都市に出てから地方に戻ってきた人のほうが(自分たちの置かれている状況を)客観視できます。自分たちの良さに気づくためには、自分たち以外の外側に目を向ける必要があります。そういう意味で、都市とのつながりは大切になると思います。

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地方の情報はまだメディアに出てこない、あっても知られていない情報が多くあります。現地に眠っている0次情報を探すことも大切です。たとえばそこにいる人しか知らない情報ですね。

地方での新事業は難しい印象がありますが、事業化をしている人に共通しているのは「根気のある情熱」です。長いスパンで行動し、人を巻き込み、周りが反対しても難しいことを実現する熱量の高さを感じます。

――最後に、個人が今後イキイキ働くためにどんなことが必要になると思いますか?

“個人が”という点についてなのですが、フリーランスの経験がありますので「ひとりでイキイキするのは無理だな」と実感しています。セルフモチベートするのは結構大変です。
(イキイキ働くために必要なのは)やはり環境だと思います。環境といってもそんな複雑な条件ではなくて、身近なつながりからまずは仲間を2人見つけることです。

新事業を立ち上げる際、今は比較的お金は集まりやすくなっていますが、問題は人です。自分がやりたいと思うことに共感してもらえる初めの2人を見つけられるかどうか。3人寄れば文殊の知恵といいますしね。
2人集めるのが大変かというと、意外に身近なところにいると思います。当社は3人の創業者がいますが、1人は前職の同僚で、もう1人は代表の高校の同級生です。長くつきあいのある人ほど、最初の仲間として相応しいと感じます。

どんな人と働くか、については、「ビジョナリー・カンパニー 2」という本の中に「誰をバスに乗せるか」という記述があります。なにをすべきか以上に、だれとやるかはこれから大切になっていくのではないでしょうか。

人のつながりの中でも、長く一緒の時を過ごしてきた関係は財産だと思います。同じ地元や、学生時代の友達のように、変化する自分の「らしさ」を長く共有できた関係は、新しいことを始めるきっかけになります。地方では昔からの縁や再会が、ますます大事になるのではないでしょうか。
 

▼古屋荘太さんが登壇されるトークセッションはこちら
ファクトリエ 山田敏夫  ×  ニューズピックス 古屋荘太 トークセッション
2018年3月5日(月)18:00-18:50


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SELF TURN ONLINE 編集部

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